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たまには長文を

ライアー・ライアー感想

面白くなりそうな予感はした。(精一杯の擁護)

(以下ネタバレあり)

 

本当は最強でもなんでもない主人公が自らを最強と偽って最後まで嘘をつき通していく。この「設定」自体はまぁ良いと思う。
実際、原作者のアイデアの引き出しも多かった。よくあれだけいろいろとゲームを考えるものだと思う。

結構な期待を持って見始めただけに、落差もまた大きかった。

こういう作品ではチートを使ってくる対戦相手に対して主人公がそれをどう打破していくのかが面白さの軸になるはずなのに、主人公サイドもチートをしまくっていた。なんならそのチートっぷりは敵よりも過剰だったかもしれない。

 

そうなるともはや共感も爽快感もない
主人公たちが逆転勝利したとしても「主人公サイドもズルいじゃん」という感想しか生まれなかった。
ましてやズルして勝ったことを主人公側が素直に喜んでいて気味が悪かった。

チートして勝ってそんなに嬉しいのか‥?
というかなろう系の読者はチートで勝つのを気持ちよく楽しんでいるのか?


どのゲームでも最後は主人公側が勝つのだが、勝ちに至る逆転の様子も「伏線回収」というより「後出しじゃんけん」でイマイチだった。
原作者はゲームを考えるアイデアがあるのだから、一番の見どころである逆転勝利のところにももっと注力してほしかった。爆発的に面白くなる素質はあったと思う。

また、頭脳戦のアニメ化が本当に難しいというのを改めて感じた作品でもあった。ラノベなら地の文でいくらでも説明できるが、アニメでは基本的にキャラに喋らせるしかない。
本作でもゲーム中の各キャラの思考に加えてゲームがどんな状況なのかまで台詞として言わなきゃいけないので、勝つか負けるかの緊迫した場面にもかかわらずキャラは延々と長台詞をしゃべり続ける形になってしまった。

ただこれは本当に仕方ない話で、どう頑張っても他に方法がないのも理解している。

 


残念なことに全体的なストーリー構成の他にも、完成度は控えめだった。
作画もギリギリ放送に乗せられる程度。
声優陣の演技力もいま一つで、キャラクターが喋っているというより収録現場で声優が台本を読んでいる感じの方が強かった。なかでも榎木淳弥は今回も安定の酷さで、ただボソボソと台本をテキトーに読んでいるだけの棒読み演技だった。なんでアニメ業界で重宝されているのか、マジで分からない。

そしてSE。どこかで聞いたような使い古されたSEの数々に笑ってしまった。
まぁアニメ制作においてSE(効果音)の作成も大変な労力なのは知っているので、そういうところをコストダウンしようとすると既存の音を使うしかないのも仕方ないのかな。

唯一褒めるとすれば、途中から出てきた椎名紬が可愛かった。キャラデザとしてかわいいだけでなく、椎名紬が映るカットだけは常に作画が安定していて専用のアニメーターがいたのかと思うくらいの出来だった。