主人公が最強すぎるなろう系原作アニメもたくさん見てきたが、ついに一つの極限を見た。
(以下ネタバレあり)
後出しじゃんけんのようだけど、ここまで極端な設定もいつか世に出てくるだろうとは思っていた。
すなわち、「死ね」と念じるだけで相手が死ぬ、究極に無敵な主人公である。
この設定、アニメとして客観的に分析すると「死ね」と念じるだけで相手が死ぬので「戦闘シーン」がなくなる。まぁゼロとは言わないまでも主人公が命の危機に脅かされることがなくなる。
それに付随して緊張感も弱まる。主人公が生きるか死ぬかの緊迫したシーンが大幅に少なくなる。
端的に言えば「アニメ映え」しない。
実際中盤から終盤にかけて世界を左右する重要な強キャラが出てきたように見えたが、文字通り"即死"するのでそのキャラの背景や強さは全然見えなかった。
序盤以降そんなことを分析しながら見てしまう程度には「冷めた目」で見ていた。ストーリーがどう進行してどんな敵が現れようが主人公は死なないし、いかに相手が強い存在であっても「死ね」の一言であっさり死んでしまうからだ。
原作は15巻らしい。この設定で15巻ももよく続いたな。
監督はプリティシリーズでおなじみの菱田正和。シリーズ構成は青葉譲。
(別名義で実際には同一人物なのは言わないお約束)
本作では一足飛びに会話が進んでいく印象だった。これが原作通りなら原作の魅力だし、アニメ化でこのようにしたならアニメ制作陣の工夫だろう。主人公が無敵すぎてどうあっても退屈になる作品をここまで飽きさせないように脚本を繋いだ点は評価したい。
別作品やネットでよく見るネタのパロディも多くて、クスリと笑えるシーンが散りばめられていた。
さて、作風の特徴を客観的に分析しつつ良かった点を取り上げてうえでなのだが、個人的にはnot for me。
まず「死ね」という言葉を何度も使う作風が良くない。育ちが悪い小中学生のようでキツかった。まともな倫理観を持っている人には不快感を誘発する。
そして敵があまりにも簡単に死んでしまうので退屈である。敵には敵なりの主張や正義感があったりするから物語として面白いのに、そういうのが描かれることなく部屋に現れた虫をつぶすかのような気軽さで死んでいくのが冷める。
ドラえもんの独裁スイッチを思い出す。
死ねと念じた相手が即死する世界の果ては、主人公以外誰もいない結末ではなかろうか。
#即死チート が最強すぎて、 異世界のやつらがまるで相手にならないんですが。見終わった。菱田正和監督と青葉譲構成目当てに見ていた。主人公が死ねと言えば即死する設定、物語の「時短」もここに極まれりって感じ。会話は一足飛び、パロディ詰め込みまくり。富田美憂の声をたくさん堪能できて満足。
— ロブ (@vector_AB) April 9, 2024