かつて世界を救った勇者の「その後」に着目して紡がれた作品。
後述する「一発ネタ」を1クール使って見事にやり切った点は高く評価したい。
評価したいのだが‥。
(以下ネタバレあり)
鈴木みのりのドコドコ系OPとTK(凛として時雨)作詞作曲のカッコいいED2が耳に残る良い楽曲だった。
ズバリ本作の核は「世界を救う度に強くなりすぎて死ねなくなってしまった主人公が自らの存在意義を見出すためにむしろ世界の災厄を望んでしまうようになり、それを自覚したことから自らの死を求める物語」と言えよう。
それを終盤まで明かさずかつて倒したはずの魔王軍に接近していく展開は確かに面白かった。全12話の第9話のラストで真の狙いを明らかにしてEDに突入するシーンは特に印象に残っている。
脚本担当もさることながらシリーズ構成の技が光った。
私が普段から監督だけじゃなくてシリーズ構成にも着目する背景がまさにこの辺にある。
話を戻して。
強すぎて死ねない勇者がかつての敵に殺してもらおうと画策する。この一発ネタのために序盤から中盤まで全然違うアニメかのように進行してきた。
設定は面白そうだけど前期に見た黒井津さんと被る。組織マネジメントネタは面白いけどメインストーリーと最後まで噛み合うかがポイントだな。これ噛み合わないと寒い。
— ロブ (@vector_AB) April 23, 2022
主人公「いいか、仕事ってのは一人でやるもんじゃない」
……お前が言うのかよ #勇やめ
社会人エアプのニートが社会を語ってるようなキツさ。キツさに加えて真の問題は「説得力の無さ」だろうな。たった一人で魔王軍を壊滅させた孤高の一匹狼主人公が受け売りでビジネス啓発本の内容をドヤ顔で語ってるから全然説得力がない。「相手の立場に立って~」ってどの口が言ってんだ? #勇やめ
— ロブ (@vector_AB) May 15, 2022
毎週同じような愚痴を書き残していた。
ネットでもリアルでも頻繁に目にするビジネス啓発本のあるあるネタをドヤ顔で語る主人公が見ていて痛々しかった。たった一人で魔王軍を壊滅させた孤高の最強主人公が組織マネジメント論を語るのは本当にキツいものがある。これ社会人なら更によく分かると思う。
全話見終わった今となってはこれらも意味のあるストーリーだったと分かる。
主人公が死んだあとも魔王軍がうまくやっていけるように組織マネジメント論を各キャラに説いて回ったのだから、主人公の行動は至極当然のものであった。だから全話見れば全部綺麗に繋がるのだが、逆に全話見るまでは「孤高の一匹狼が組織論を語りまくる」という痛々しい展開が続いてしまう。
注目を浴びたいから世界の危機を自分で作る。ちょっとした代理ミュンヒハウゼン症候群だな。あるいはメディアへの皮肉か #勇やめ
— ロブ (@vector_AB) June 23, 2022
主人公の思考が代理ミュンヒハウゼン症候群にそのまま該当するのかは微妙。違っても責任は取れない。ただこういう前提で原作も作られたのだと思われる。
最終評価としてはまぁ満足。
1クールの使い方はうまかったし、主人公の真の狙いが明らかになってそれまでのストーリーが一気に「一本の線で繋がる」瞬間の気持ちよさは確かにあった。
ただそこまで我慢できるだろうか。誰もがどこかで目にするビジネス啓発ネタを語る主人公は本当に見ていて痛かった。(何度もしつこくて悪いけど本当にその印象しかない)
勇者、辞めます見終わった。世界の平和を守り続けるためには世界に争いが起き続けないといけないという一発ネタをよくここまで膨らませたとは思う。前半の取ってつけたようなビジネス系自己啓発ネタや組織マネジメント論がかなりイタかったけど、なろう系の流行りなんだろう。まぁまぁ満足 #勇やめ
— ロブ (@vector_AB) July 3, 2022