医療考証へのこだわりは感じたが、時代が違うのにそこだけリアリティにこだわったせいで浮いていたのも事実。本文で具体的に触れたい。
(以下ネタバレあり)
原作は韓国。異世界転生と医療と恋愛の組み合わせ。シンプルなタイトルに反してループものであり、メインストーリーはエリーゼの3回目の人生に当たる。
国の皇后になるよりも医者になって人々を助けたいというテーマ自体は共感を誘うし、端的に好き。
第一の人生では悪役令嬢だったようで、周囲から嫌われていたことが描かれる。
第二の人生では日本で生まれ育ちエリート外科医として活躍していた。
第三の人生では元の世界に戻り、外科医としての知識と経験を持ち込んで無双するという、最近流行りのパッケージである。
医療考証はしっかりやっているらしく、作中で登場する病名はどれも実在する物のようだ。
一方で、無菌室でもない普通の学校の教室みたいな部屋で開腹手術をしたり、この世界では知られていない病気を言い当てたりと、医療描写にこだわっているが故の世界観とのギャップがあったのも事実。
と言っても決して悪く言うつもりはなく、この辺は「異世界医療もの」なので多少はフィクションと割り切るしかないだろう。
中盤以降は「医師になりたいエリーゼ」VS「エリーゼを医師にさせたくない皇帝」というよく分からない対立構造になる。皇帝はエリーゼをむしろ高く買っており、医師ではなく皇后にさせたがっていた。
終盤では皇帝の側近・ベントの作戦で医師試験の難易度が大幅に難しくなり、エリーゼの合格を阻止しようとしていた。ところがエリーゼはその策略を乗り越え見事最高点で合格して物語は結末を迎えた。
この終盤の展開も、私は見ながら思わずツッコんでいた。
「医師になるための試験」なのに、医学界でも結論が出ていない問題とか、手術経験がないと解けないような問題を出していたからである。それでは他の受験者はもっと解けるはずがない。
エリーゼの合格を阻止しようと言いながら一周回ってエリーゼ優遇措置になっていた。
最終話、エリーゼの優秀さを見せたい脚本の都合は分かるけど、「医師になるための試験」なのに医学界でも結論が出ていない問題とか手術経験がないと解けないような問題出すなよ。一周回ってエリーゼ優遇措置じゃん #外科医エリーゼ
— ロブ (@vector_AB) April 7, 2024
あとは90年代のJポップみたいなOPも妙に印象的だった。
全体を振り返るに、第一の人生と第三の人生の間に、「日本に生まれて外科医になった知識と経験」がデメリットなしに上乗せされている構成だった。
例えるなら何かの小学生の大会に一人だけガチの大人が無理やり参加して優勝をかっさらっていったようなイメージである。
これがなろう系として受け入れられるかどうかで感想も変わってくるだろう。
外科医エリーゼ見終わった。人生3回目の主人公が、やや古い時代に現代医学の知見を持ち込んで無双する物語。病名診断と手術のシーンだけ妙にリアリティが高いせいで不気味の谷みたいな違和感が出てしまうが、まぁ12話で綺麗にまとまったのは流石赤尾でこ構成。 #外科医エリーゼ
— ロブ (@vector_AB) April 7, 2024