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たまには長文を

怪人開発部の黒井津さん感想

実在するローカルアイドルを起用する独創的な作風に加えて、世界征服を企む秘密結社でありながらホワイト企業での働きぶりをコミカルに描いていて社会人の私の心に刺さる良作だった。

(以下ネタバレあり)

 

ヒーローを倒す秘密結社と謳いいかにも悪の組織という先入観を視聴者に植え付けておいて、その仕事っぷりが完全に超ホワイト企業のそれ。まずここが面白かった。承認者が多くてハンコをもらうスタンプラリーに無駄な時間を要しているような描写をみせつつも、しっかりした勤怠管理安全を重視し少しでもリスクがあれば行動を止めるシーンがあって、今の日本社会に見せたい場面がいくつもあった。

 

 

最終話のOPにSEを入れる演出も、実際に見たのはかなり久しぶりでアニメオタクのかゆいところに手が届く小粋な演出だった。

次回予告で長すぎるサブタイトルを全部言えないネタも面白かったし、中盤以降読むことすら諦めたネタも予想外で笑った。「長い次回予告」というテーマでたくさんの小ネタを用意するところに感心した。

アニメオリジナルキャラクターの派遣バイト2人も強烈なキャラだった。
働きたくないからって単発バイトしかしていないと、結局自給の低い「割に合わない」仕事しかできなくて「同じお金を稼ぐのに長時間働くことになる」という残酷な現実が見えた。
そんな厳しい人生を送っている二人がクライマックスでそれまでの人脈を駆使して多方面に声をかけ仲間を集めたシーンは痛快で感動した。

 

 

また、私でも知らないようなレジェンド級男性声優たちを贅沢にナレーションに起用したらしい。この辺もすごい。

音楽面でも、戦隊モノを思わせるOPと2種類のEDを用意して充実していた。


原作のコミックスは放送開始時点で3巻しか発売されていないのによくアニメ化したと思う。

2022年冬クールで一番楽しかった。
スタッフ陣の多方面へのこだわりが感じられる素晴らしい良作だった。
「微に入り細を穿つ」とは、まさにこのような作品のことを指すのだろう。