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たまには長文を

うちの師匠はしっぽがない感想

かなりの良作。ベースとなる落語の描写がすごくしっかりしていて、かつ毎回ストーリー展開が滑らかで惹き込まれた。

(以下ネタバレあり)

 

声優陣の演技力が高い。確かな実力で選ばれたキャスト陣の演技は、まるで画面の中のキャラクターが直接しゃべっているかのような自然さだった。特に主役を演じたM・A・Oと山村ひびく、セリフ量も多いなか見事だった。

単にキツネやタヌキが人に化けて落語をするサクセスストーリーにしているのではなくて、大正の時代の変化でもともとは人間が嫌いだったところを起点にしているのが奥深い。嫌いなはずの人間たちを笑わせる中で、かつての温かい人間模様が現れる描写がすごく印象に残る。

シリーズ構成は私も大好きな待田堂子。最近当たり外れが激しいが今作は当たり。そして他の脚本陣も良かった。下林渓、皐月彩、冨樫夕歩。3人とも初めて見る名前である。特に皐月彩と冨樫夕歩の回は印象に残ったので今後注目していきたい。

 


最初は「弟子はとらない」とまめだに冷たかった文狐がいつのまにかまねだがいないことに寂しがってる様子が萌えた。かわいい。

毎回ラストに「しっぽなのしっぽ」と称して解説コーナーを設けたのも英断だった。あれを本編で解説されると説明が多すぎてドラマとして成立しなくなるし、かといって「分かる人にだけ分かればよい」と一切の説明を省いてしまっては雰囲気でしか楽しさが伝わらない。おまけコーナーに切り出すことでお得感を演出しつつ見る側も理解が深まって良い試みだった。