change direction

たまには長文を

星屑テレパス感想

キャラ付けがかなりキツく、視聴にあたっては一時停止しての休憩を何度も余儀なくされた。けれど、この作品からは何か人生の教訓めいたメッセージも感じ取れた。

(以下ネタバレあり)

 

きらら原作なのでキャラクターの性格や言動が年齢と比較して相当に幼いのは仕様。むしろそれ自体は全然受け入れられる。
例えば天下の『ごちうさ』でさえキャラの精神年齢は高校生や中学生のそれには見えなかったわけで。

ただし本作、主人公・海果のコミュ障っぷりは歴代きらら原作アニメの中でもかなり上位に来る。単なる引っ込み思案の人見知りでは済まず、意を決してペットボトルロケットを作るあたりも"ホンモノ"を思わせる。

 

 

一方、そこを割り切ってしまえばキャラはかわいい。

芯が強いにもかかわらず社会に生きづらさを感じて引きこもりがちなまたたき、将来の夢や目標を持てずに人生に本気になれないことに悩む宝木たからぎ。この二人には深い共感を覚えた視聴者も多かったことだろう。私もその一人である。


本編のストーリーは原作者のロケットに対する造詣の深さが強く感じられる。火薬の種類から免許のランクに至るまで、かなり細かく描写されていた。
それだけに、第9話の大会で肝心のロケット打ち上げ描写が無かったのは良くも悪くも印象的だった。原作通りなのか?

この第9話の大会に至るまでいろいろ苦労してきたはずなのに、大会の描写は海果がステージ上でアガりまくって酷い学校紹介しかできなかった部分だけだった。

その後に回想として結果が示され、秋月慧率いる竜岡科学技術高校が当然の優勝を果たしたことは添えられた。

原作(漫画)通りならこれで良いとしか言えないが、アニメだけ見ていると肝心なヤマ場をカットしたようにしか思えなくて拍子抜けしてしまった。

頑張って好意的に解釈するならば、えがきたいのはあくまで海果たちの人間関係であって、大会でのロケットの飛距離や成績は関係ない。故に描くこともない、という割り切りなのかもしれない。(かなり無理やりな解釈だが)

 


好きなキャラは妹の穂波とボクっ娘の秋月彗。
ボクっ娘はいつ見ても良いものだ‥。
キャラの表情が頻繁に変わるのもかわいかった。


私ももういい歳したオッサンだ。
美少女アニメは未だに大好きだが、今さら「おでこぱしー」自体に興奮する元気は無くなった・・。

むしろこの作品は、一段引いたところから少し俯瞰して見てみるのが良いのかもしれない。

私は本作、特に海果の成長を通して「一歩踏み出す勇気」を受け取った。
重度の人見知りでも、自身の夢が宇宙に行くという壮大すぎるものでも、上がり症故にステージでの学校紹介が悲惨な結果になったとしても、それでも次の一歩を踏み出す海果は間違いなく正統派主人公だった。

そう思うと最終話の後半も印象的だった。
海果は大会のリベンジや宇宙への夢を、瞬は別の大会での優勝を、宝木は周囲へのサポートを通じて自身の夢や目標を見つけることを、それぞれ決意した。(宇宙人のユウはまぁ置いといて・・)

3人の目標が微妙に違っているのが良い。最終話で彼女たちは精神的に自立した立派な大人だった。きららアニメでキャラの内面がここまで成長する作品は珍しいし、全話見終わってみればなかなか心に響く良い成長物語だった。