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たまには長文を

スキップとローファー感想

玄人好みの渋い良質アニメだった。事前に期待した方向性ではなかったけれどほっこりと心に残る良作。

(以下ネタバレあり)

 

その衝撃は第1話を見る前から――。監督の名前に出合小都美の名前を見つけた瞬間、思わず飛び上がった。

 




出合小都美の独特な色遣い、特に以下の3つは2023年の今でもはっきり覚えている。

ローリング☆ガールズ(2015年)
フリップフラッパーズ(2016年)
ましろ色シンフォニー(2011年)のED

そんな中で個人的には7年ぶりに見たわけだ。(※もちろんご本人はこの間も様々な作品に携わっている。偶然私が見ていないだけ)


まあ実際には私が期待した独特の水彩画チックな作画ではなく、むしろビビッドな配色は控えめの"静か"な作画だった。
ストーリーに関してもエンタメとしてのキラキラしたアニメではなく、人間ドラマのようなじっくり味わい深い方向性。パフェに対する和菓子みたいな。

ド田舎から東京にやってきた純真無垢なみつみと、複雑な家庭環境から本心をなかなか見せない志摩の組み合わせを見ていると、なんやかんや良い夫婦になるんだろうなーという将来像が浮かんできてなんとも居たたまれない気持ちになった。はぁ・・。

人見知りでキラキラした女子が苦手だったのに先入観を捨てて結月と仲良くなっていく誠や、自身の性格の悪さを自覚し思い悩みながらも一歩ずつ成長していくミカの様子も味わい深く印象的だった。

志摩くんにしても、親の離婚と再婚で血の繋がらない弟との距離感に悩む処遇には同情を禁じ得ないし、それでも一歩踏み出す勇気には心打たれた。

出合小都美の次回作にも期待したい。