序盤の導入部分に関してはこれまでに見てきたすべての異世界転移モノの中でもトップクラスにリアリティがあった。エロシーンは生々しすぎてキツかった。
(以下ネタバレあり)
何の前触れもなくゲームっぽい世界に転移するのはここ数年のなろう系作品の流行。もはや見慣れたパッケージなだけに、ともすれば序盤早々に平凡な印象を持たれてしまうだろう。
それを考えると本作の導入は見事だった。転移に戸惑いつつも主人公が自らのステータスを一つずつ丁寧に見ていくシーンのリアリティは高く、初めて触れるゲームで操作方法や設定などを確認する感じは、さながら本当に自分がゲームの世界に入ったかのようだった。
慎重な主人公と言うと『慎重勇者』(2019年)が思い出されるところだが、あれはまぁ主人公にも同一世界観の前世があったわけだし、慎重と言いながら実質最強主人公みたいなところがあったので少し毛色が異なる。
話を戻して、ログアウトできない(=元の世界に帰れない)ことを悟った主人公は早々に頭を切り替えてその世界で生きていくわけだが、やはりリアリティのある慎重さを見せていく。
・金欲しさに一つでも多く盗賊の首が欲しいが、バレる前に撤収する
・むやみにダンジョンを進まず、倒した第1階層のボスをもう一度倒しに再入場する
といったように、死なないように立ち回る。
死んだら終わりのゲームっぽい世界で生き抜くために、むやみにダンジョンを進まず倒した1階層のボスをもう一回倒しに行く展開はかなりリアリティがある。スキルや道具の確認シーンも含めてストーリー展開が非常に良いんだけど、問題は主人公が性奴隷欲しさに頑張ってるところなんだよな #異世界迷宮
— ロブ (@vector_AB) August 23, 2022
そんなわけで、「死んだら終わりの世界で死なないように生きていく慎重さ」のリアリティは大変良かった。
・・良かったのだが、この作品の売りでもあるエロ方面は私にはかなりキツかった。
むっつりスケベで性奴隷が欲しい主人公の性欲は、まぁ認めよう。そういうキャラ設定だし。
しかし性奴隷買いたさに、盗賊をサクサク殺している描写がなんとも言えない気持ちになった。確かに盗賊は村人を襲っていたし殺されても文句は言えない。村人目線に立てば盗賊が死ぬのは因果応報、平和に近づくことだ。そういう観点では主人公の行為は100%良いとも悪いとも言えない。
ただ、序盤血を見るだけでもビビっていた主人公が容赦なく盗賊の首を切り落としていたのがなんか不気味だった。
アレか?私の方が偏っているだけで、一般人には違和感ない描写だったか?
エロ描写で言えば寝起きのキスもキツかった。起床直後の口なんて科学的にも雑菌だらけで臭いのに‥。
これも私がリアリストだからキツいだけで、世のオタクたちはエロい描写としてすんなり受け入れたのかな? ニコニコ動画で見ている分には「いくらなんでも気持ち悪い」と言うコメントが多かったが。
物を相場の3割引きで買える能力とかワープ能力を使って毎回入場料を支払わずにダンジョンに入る描写もなんかセコいというか、小物感を感じてしまった。悪くはないけど。
『ハーレムを』というタイトルに反して終盤までメインヒロインしか出てこない構成は個人的にはかなり「アリ」。メインヒロインとの関係をまずは深めていく。その上で第二・第三のヒロインが出てくるのが原作のストーリーなのだろうし、むやみに改編しなかったのは評価したい。最後に在庫処分がごとく一気に出てきたのは笑っちゃったけど。
本作はオンエアに際して3バージョン作られた。
絵と音声に規制を入れた「TV放送ver.」、一部の絵に規制を入れた「ハーレムver.」規制なしの「「超ハーレムver.」。個人的にはアニメにそこまでエロ描写を求めていないのでTV放送ver.で充分だったが、ピー音が多すぎて作品として成立していない感じもした。まぁこの辺は難しいところ。
というわけで生々しいエロ描写に食傷気味だったものの、序盤のストーリー展開のリアリティは他のなろう系アニメ作品にも見習ってほしいレベルではあった。まあまあ満足。
異世界迷宮でハーレムを《TV放送ver.》見終わった。主人公の慎重な姿勢はこの手の作品の中でもトップクラスのリアリティさだった。タイトルと裏腹に終盤までメインヒロインしか出ないのも悪くない。ただ主人公の性欲キツいわ。性奴隷買いたさに盗賊をサクサク殺してるのがサイコパスだった #異世界迷宮
— ロブ (@vector_AB) October 3, 2022