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たまには長文を

回復術士のやり直し感想

ヒール(回復とは言ってない)。

(以下ネタバレあり)

 

主人公の強力な力で敵を倒す構造へのアンチテーゼとして(アンチテーゼの使い方あってる?)、主人公の能力を回復とする作品は意外と少なくない。有名どころではストライクウィッチーズ宮藤芳佳が挙げられる。もっとも宮藤も結局終盤では火力オバケになって敵を薙ぎ払うわけだが。

さて、主人公がひどく虐げられた前世の記憶を引き継いで「世界をやり直すヒールする」という物語全体の設定に惹かれて見始めた。ところが予想は大きく外れる。復讐に生きがいを感じる主人公は徹底して過去虐げてきた相手を精神的にも打ちのめしていく。

「ヒール」の一言で相手を倒すわ自分の顔を変えるわ相手の記憶を改竄するわと、まぁ便利な呪文と化しているのが面白かった。これは皮肉じゃなくて素直に面白かった。
異世界転生モノがこれだけ溢れる近年の状況では、オリジナルの呪文を考えるのも一苦労だろう。そこにこだわってこそ作家という意見もあろうが、正直今の時代視聴者的には呪文なんて気にしないだろう。ヒールの一言で何でもできる省エネ展開はメタ的にも悪くないと個人的には思う。

最終回を見終わったいま全体を振り返ってみると、展開はかなり都合がいい。美少女を次々と手籠めにしつつ性欲も全開でやりたい放題である。それでも復讐劇にはキツいリアリティがあって、昨今多い緊張感のない異世界転生モノの中でも印象に残るストーリーだった。
原作の良さもあるだろうが、ベテラン・筆安一幸脚本も効いているのだろう。