change direction

たまには長文を

シャドーハウス 2nd Season感想

「シャドーハウスとは何なのか?」という核心に近づいていく第2期。第1期序盤のアドベンチャー要素が少なくなった代わりにミステリー要素が増えて、これはこれで面白かった。

(以下ネタバレあり)

 

終盤まで気づかなかったが、見れば見るほどブラック企業の風刺だと思う。考える余裕がないくらい忙しく働かされたり、シャドーハウスへの忠誠を何度も唱和させられたり、窓のない部屋で寝ることを強いられては、自らの状況を客観視することなどできまい。
偉大なるおじい様が絶対の存在でシャドーハウス内でも権力争いがあって各自微妙にギスギスしているのもブラック企業っぽい。すす量や煤能力だって仕事の出来や速さそのものだし、耐えきれず壊れて・・・人員が不足すればすぐさま補充されるのも生々しい。

そんな館に対する違和感が徐々に大きくなるとともに、研究班を始め人間関係(人間?)が広がっていく展開に惹き込まれた。まとわりつく怪しげな雰囲気と先の読めないストーリー展開が見事だった。

一人二役を演じたベテラン声優の実力も光った。中でもマリーローズ/ローズマリー役の中原麻衣とバーバラ/バービー役の釘宮理恵特に釘宮理恵はバーバラ/バービーの現在と若い頃の系4役をやってのけたから恐れ入る。

第10話で原作に追いつき、第11話と最終第12話はオリジナル展開だった模様。
原作の今後を予感させつつもアニメはアニメとして風呂敷をたたむベストな幕引きだったのではないだろうか。

ただ最後は少しあっさり終わった感じもする。
シャドーハウスは、間違っている――!
ケイトが館に対して明確に疑問を持ち、更なる調査について決意を新たにするいかにも最終話の最後にふさわしい台詞だったので、もう少し溜めるかもう少し余韻に浸りたかった。

もちろん原作準拠にこだわるあまり雑に終わる作品多い最近のアニメ業界を思えばすばらしい締め方だった。これは強調したい。

ぜひとも第3期を作ってもらいたい。
現時点で原作に追いついてしまったので続編の制作はかなり厳しいだろうが、今後の機会に期待したい。

ということでシャドーハウス2期、原作の魅力を十二分に引き出した良作だった。