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たまには長文を

無能なナナ感想

 心理戦と読み合いが心に刺さる良作。

(以下ネタバレあり)

 

様々な能力を有する若者が集まって学校生活を送る孤島。そこに何の能力もない無能なナナがある使命を持って乗り込む。

まず第1話の衝撃が記憶に新しい。主人公のように描かれたナナオが突如崖から突き落とされる。遠慮も気遣いもない殺し合いが始まったことを強烈に印象付けられた。

その後もナナは自らを疑うキョウヤの目をくぐりながら、殺害を進めていく。

単なる能力バトルではなく、相手の次の手を考えたり先の先まで考える心理戦が展開されてめちゃくちゃ面白かった。徹底した原作準拠とのことだが、毎回引きがうまく次の展開が気になるように見せながらEDに入っていく構成で、毎回の脚本担当やシリーズ構成の実力の高さが良くわかる。ちなみにシリーズ構成は志茂文彦。聞けば納得の脚本家であろう。

原作準拠故に最終回でも次週の放送があるかのように締めくくられたのは少し残念だが、ここまで面白い原作の良さを消さないためにはやむを得ない選択だろう。
個人的には、原作を尊重しつつもアニメ作品なのだから何かしら工夫して最終回を綺麗にまとめてほしいと思っているタイプなのだが、今作に限ってはこの結末も受け入れよう。

これから緊迫のサスペンスが始まるんだという気分を盛り上げる富田美憂のハイテンポなOPも作風とマッチしていて良かった。

ここまで面白い脚本は数年に一度出会えるかどうかのレベル。原作が溜まり次第是非2期をやってほしい。残念ながらラスボスっぽい藤原啓治の声はもう聞くことができないけれど、むしろ今回少しだけでも聞けて良かった。