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たまには長文を

2010年代個人的アニメ10選

2010年の冬クールから2019年の秋クールまでの10年間に私が見たアニメのタイトルは393作品となった(本記事作成時点)。今回は2010年代個人的アニメ10選を書いてみようと思う。

 
アイドルマスター(2011年)
制作:A-1 Pictures
監督:錦織敦史
シリーズ構成:待田堂子

当時アイマスは名前しか知らず各キャラの特徴もほとんど知らなかった。そんな私でも、1話ずつ色々なキャラを取り上げながら毎回違う楽曲を差し挟む贅沢なストーリー展開にハマった。
そして、ある回の本編を見ている途中で(つまりEDテロップで脚本が誰だったのかを確認する前に)その回の脚本家が分かる経験をした初めての作品。ストーリーの進め方やキャラクターの動かし方がその回の担当脚本によってこんなに違うのかと強く実感した。アニメを見る上で制作会社や監督だけでなく、シリーズ構成や脚本家の存在を強く意識するきっかけとなった。待田堂子脚本に惚れ込んだのもこの頃。


『アスタロッテのおもちゃ』(2011年)
制作:ディオメディア
監督:追崎史敏
シリーズ構成:赤尾でこ

円盤購入作品。原作のコミックも購入した
身長低めのキャラデザがかわいく声優も豪華。お色気要素が多めながら下品にならないラインを守っていて理想的な萌えアニメ。しかし物語は家族愛を正面から描く、心温まるハートフルストーリーなのである。このギャップがとにかくすごかった。
キャラデザ・大塚舞の存在を強く認識した作品。本作より前から作られていた『灼眼のシャナ』も含め、彼女がキャラデザを務めた『俺修羅』、『のんのんびより』、『ストブラ』、『この美術部には問題がある』、『うらら迷路帖』、『まちカドまぞく』と数多くの作品を見てきた。これからも大塚舞の描くキャラから目が離せない。


ガールズ&パンツァー(2012年)
制作:アクタス
監督:水島努
シリーズ構成:吉田玲子

熱意は届く。
戦車とかロボットアニメにあまり興味がない私でも、この作品の制作陣が込めた熱量は確かに感じた。キャラが多いのに誰もないがしろにされていないしそれぞれのキャラが生き生きとしていた。こういう作品は楽しい。2回の総集編を挟んだが、本編だけでは伝わらない設定を徹底的に解説することでむしろうまく視聴者を取り込んだ、最近は完成が間に合わず「ただの総集編」を挟む作品が出てきているが(所謂いわゆる「万策尽きた」)、総集編をやることでむしろ作品の魅力を高めた事例は現時点で本作しか思いつかない。


プリティーリズム レインボーライブ』(2013年)
制作:タツノコプロ
監督:菱田正和
シリーズ構成:井内秀治、坪田文

見始める前までは女児アニメだから自分には関係ないと思っていた作品。プリチャンにハマったのをきっかけに見てみたら、人間関係がドロドロしていて胸が締めつけられる展開や、眼を背けたくなるようなつらい失敗が続き、本当に女児向けアニメかと疑った。一方で4クールかけてじっくりと紡がれる成長物語は、1クールや2クール作品では描けない重厚なカタルシスがあって非常に感動した。使われる楽曲はどれも非常に良かった。2010年代で最高の作品かもしれない。


ゆゆ式(2013年)
制作:キネマシトラス
監督:かおり
シリーズ構成:高橋ナツコ

日常系の終着駅。
従来「日常系」といえば、日常という言葉とは裏腹に単に緊張せず見られる「ユルい作品」を指しがちであった。対してゆゆ式は徹底して非日常的な要素を排した。休み時間の意味のない会話。部活での何気ないやり取り。お互いの家に集まってのおしゃべり。体育祭も文化祭も描かないそれは真の「日常系」と呼ぶにふさわしい作品である。
特筆すべきはお互いに空気を読み合っていること。日常系作品にありがちな「キャラ付けありきの非現実的キャラ」はおらず、それどころか「これを言うとスベりそうだからやめておこう」と自重するシーンがある。「日常に花を添えるための意味のない日常会話」を形成するために常に言葉を選び続けている彼女たちが女子高生のリアルでなくて何だというのか。私を含め多くのアニオタを魅了した「究極の日常系」としてこれ以上の作品が今後現れるのだろうか。


ノーゲーム・ノーライフ(2014年)
制作:マッドハウス
監督:いしづかあつこ
シリーズ構成:花田十輝

円盤購入作品。
やっぱりアニメで重要なのはストーリー展開、それを強く感じた。人間にはない特殊能力を持つ種族とゲームをしていくストーリーは、圧倒的に不利な状況から無理やり心理戦に持ち込み、そしてわずかなスキをついて逆転する展開が面白い。監督・いしづかあつこの独特な色遣いとスタイリッシュなBGMに加えて実力ある声優陣が声を吹き込んだこの作品は、まさに「脚本良し、作画良し、演出良し」の見事な名作だった。円盤購入特典だったサウンドトラックは今でも聴いている。その後は劇場版も作られた。本放送から長いが、2期に期待している。


トリニティセブン(2014年)
制作:セブンアークス
監督:錦織博
シリーズ構成:吉野弘幸

主人公のさっぱりした性格と松岡禎丞ボイスに加えて、TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDのBGMは最高の組み合わせ。
もし本作を客観的な目線で評価するなら正直言って微妙な立ち位置になる。キャラデザはやや癖があるし、命がけの戦いにしては雑談を挟みながら技を出し合うので緊張感に欠ける。ヒロインたちはほぼ無条件で主人公に好意を寄せるし、ヒロインの服は何かにつけて破れるなど安直な展開も多い。
しかしスタイリッシュなBGMによって全てがカッコよく見えるのだ。ハーレムアニメあるあるの芯のない難聴主人公とは逆で、前向きでさっぱりした主人公は見ていて爽快でもある。「いつかもう一度見たい」と思うアニメは多いが、この作品の場合は1周では飽き足らず実際にこれまでに3周見た。スタッフ陣にも深く愛されたこの作品はその後2016年と2019年に劇場版が作られた。2度も映画化される作品はそうない。
客観的な評価では測れない魅力が溢れていて妙にクセになる。そんな大好きな作品。


ハイスクール・フリート(2016年)
制作:プロダクションアイムズ
監督:信田ユウ
シリーズ構成:吉田玲子

ガルパン同様、キャラが生き生きしていた作品としてこちらも取り上げたい。しくもシリーズ構成はガルパンと同じで吉田玲子。速いのが特徴なくらいでスペックも地味な主人公の潜水艦が知恵と勇気でピンチを乗り越える展開は熱い。個性豊かな各キャラがそれぞれ自分の役割を全うすることで組織全体が良い方向に進んでいく、そんなストーリーは何度見ても興奮する特に最終回の第12話は2010年代に見た全てのアニメの回の中でもトップクラスに燃える回だった


アイカツスターズ(2016年)
制作:BN Pictures
監督:佐藤照雄
シリーズ構成:柿原優子

就職1年目の私の心の拠りどころとなった名作。
どれだけ努力しても「まだ足りない」と言わんばかりに頑張り続けるキャラたちには、冷静に振り返れば一抹の狂気を感じることもあったが、毎週欠かさず見るのがルーティーンとなった。この作品に出会えたのも運命だと思う。就職してからライフスタイルが変わりアニメをほとんど見なくなっていた自分を再びアニメの世界に引き寄せた作品でもある。いつか『アイカツ』もちゃんと見たい。


『キラッと☆プリチャン』(2018年~)
制作:タツノコプロ
監督:博史池畠
シリーズ構成:兵頭一歩

アイカツスターズにハマったしこちらも見てみるかと見始めた作品。前作・プリパラは名前こそ知っていたが当時は見視聴だった(後に2stシーズンまで視聴)。それでもプリチャンから新しい世界になったので違和感なく入ることができた。ストーリーは、上品なアイカツと比較してギャグ要素も多く、見ていて面白いし楽しい。何より楽曲が良い。どの曲も口遊くちずさめるほど頭に残る。
公式HPでの配信とニコ動の公式チャンネルで、同じ回を週に2回ずつ見ている

 

さて、10年間で400タイトル近くも見たのかと思うと感慨深い。
結果的にアイマス、アイスタ、プリリズ、プリチャンと10個中4作品がアイドルアニメになった。(10選には書かなかったがプリパラも好き。)しかし元々群像劇が好きなので、アイドルアニメが好きというよりは「キャラが多くて、どのキャラにも幅広くスポットライトが当たる構図」が好きなんだと思う。ガルパンもハイフリもまさにそうだし、アスタロッテやトリニティセブンは脇役的ヒロインにも大切に扱われたのが好きだった。

2020年代はどんな作品が作られるのだろうか。