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たまには長文を

グリザイア ファントムトリガー感想

昔見たシリーズの「その後」を描く本作。キャラクターが一新されても、命がけで戦う緊張感は変わらず。冒頭から一気に引き込まれた。

(以下ネタバレあり)

 

【簡単なあらすじ】
浜学園の正体をよく知らずに着任した新任教師・有坂は、拳銃の取引現場に偶然居合わせたため誤解により拉致される。レナたちにより救出される際、目の前で何人もの(悪)人が血を流して死んだことにショックを受けた有坂であったが、翌日には学園に復帰した。
日は変わってとある夜の港。美浜学園の姉妹校である京船桜ケ丘の稲垣姉妹は、とある「荷物」を受け取るため待機していた。しかし船から出てきた男は荷物が突然消えたと言う。美浜学園の協力のもと調査を進めて浮かび上がる政府要人とロシアの犯罪組織。ロシアの犯罪組織に買われたマキはかつてレナと過ごした過去があった。壮絶な死闘の末に見えた真の黒幕、それは意外にも国の方針転換から組織を守ろうとした京船桜ケ丘だった。


何から書いたものかと思ったがまずは天衝監督の多才っぷり。アニメーター出身でありながら今回は監督・シリーズ構成・脚本を一人で担っている。
特に何度か描かれる星空は吸い込まれるような見事な作画だった。
(もちろん天衝本人が描いたのかは分からないけれど、過去作やRewriteでも印象的だった記憶があるので多少は関わっている……と思う。)

個性豊かなキャラクターが持ち味を生かして協力する展開はどんな作品でも見ていて気持ちがよい。ハルトの命令を無視したレナが、結果なんとか勝ったにもかかわらず泣きながら謝っているシーンはいろいろと考えさせられる深い展開だった。隠れた見どころの一つだと思う。

個人的には忍者ことムラサキをもっと見たかった。原作では彼女を掘り下げるエピソードも用意されているのだろうか。

シリーズ全体に共通する魅力としては、簡単に人が死ぬところ。こう書くと不穏な印象になるが、やたら派手な爆発だけ頑張るくせに死者数が少なかったり主人公サイドが無傷だったりするのはリアリティがない。むしろ本作のように銃やナイフで簡単に人が死ぬからこそのリアリティとか、「命のかけがえのなさ」みたいなものが強調されている。

もちろん脚本もよい。先の読めない展開と謎に迫るスリル感。バイクでめちゃくちゃなスピードを出していく「動」の演出も良いが、銃を構えてじっとタイミングを伺う「静」の演出も見逃せない。張り詰めた空気、緊張感の演出がうまい。

それにしてもグリザイアというコンテンツはすごい。HPでキャラ紹介を見てみると、そんなに長くない文章から個性が溢れ出るかのよう。
最近のアニメだとハイスクール・フリートも脇役までキャラ設定が練りこまれていて好きだったけど、似たような雰囲気を感じる。このキャラがどんなふうに動くのだろうかと期待が高まってしまう。


劇場版もいいけれど、1クール使ってじっくり見たかった。続きを見たいし叶わないなら原作に手を出すことも検討したい。