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たまには長文を

XEBECの解散に寄せて

2019年5月31日、アニメ制作会社ジーベック(XEBEC)は、吸収合併という形で解散した。

と言っても、あまり大きく騒がれていない(ように見える)のは、本件が4月に発表されていたことに加え、吸収先のProduction I.Gが同じグループ内(なので騒ぐほどの話ではない)というのが大きいだろう。

率直に言って私も驚かなかった。子供向けアニメも含めて幅広く手堅くやっている印象はあったものの、目の覚めるヒット作は思い浮かばない。

私が見てきたXEBEC作品は以下の10個である。

(これより遡ればロックマンエグゼシリーズも該当するが15年以上前なので割愛する。)

 

まぁ……、パッとしない(失礼)。
この中で知名度のある人気作品と言えるのはニャル子さんくらいだろうか。もちろん私が見なかった作品で名作があるのかもしれないし、それは他の記事や皆様の感覚に任せる。


さて、今回はこの中で一つの作品を取り上げたい。
すなわち、図らずもXEBECの力の限界を感じてしまった作品……、
それこそ、2017年の「クロックワーク・プラネット」である。

 

vector-cd.hateblo.jp

 

ヒマな人は、私が2018年2月にアップした感想文(↑これ)をご覧いただきたいが、当時の私は冒頭にこう書いている。

期待していた分だけ裏切られた思いが強い。
ストーリー展開も作画も演出も、XEBECが時代の変化に取り残されていてかなり苦しい。

はっきり言って2010年代後半のクオリティではなかった。
2010年代前半どころか、00年代後半と言えるかすら怪しい出来だった。

作画に緻密さはなく、演出も単調で、30分の使い方もボロボロだった。

この感想文で私は最後にこうまとめている。

食材は良かった。
料理人の衰えが隠せない。
そんな印象が残る作品だった。

自分で言うのも自画自賛だが、こうしてXEBECが解散に至ったのを踏まえるとなかなか核心をついている表現にも見える。

もう限界だっただろう――。


……。
かくして一つのアニメ制作会社がその歴史に幕を下ろした。

それでも一抹の安堵感を覚えるのは、空中分解のような「消滅」でもなく、経営の行き詰まりによる「倒産」でもなかったからというのが大きい。
マングローブは破産して消滅したし)
どこかベテランのプロ野球選手が惜しまれつつも引退する感じと似ている。
XEBECはアニメ業界において、その役割を終えたのであろう。

故に――。
最大限の敬意を持って素直にこの言葉を送りたい。

お疲れさまでした。