change direction

たまには長文を

シャドーハウス感想

シャドーという謎の存在と、顔として仕える生き人形。先の読めない展開と理不尽な課題は嫌悪感よりも興味をそそる。かと思えば途中から謎解きアドベンチャーにもなってきて面白かった。ケイトがシャドー家そのもの、いわば世界観そのものに対して疑問を抱くシナリオが奥深い。

(以下ネタバレあり)

 

「シャドー」とか「すす」といった綺麗なイメージがない単語が飛び交うことに加え、「余計なことは考えない」ことが露骨に推奨されている館での生活。ありがちなテンプレ展開が見られず独自の世界観を持つ作品であることがわかる。

不気味で怖いストーリーは、特に前半に関していえば見ていて心地良いものではなかった。第4話まではこびりつき騒動についてバービーから一方的にラムが犯人扱いされ、かばおうとしたエミリコとショーンまでもが口答えしたと罰を受ける。第5話以降のエドワードによるお披露目でも、最初からクリアするのが困難な課題を与えられていて、エミリコたちが失敗するのを望んでるそぶりを前面に押し出すエドワードが鼻につく。

もちろん見ていて本当にイライラしているわけではなくて、原作者とアニメスタッフによるストーリー通りだということもよくわかる。
むしろ第5話以降は脱出ゲームが謎解きアドベンチャーの様相を呈していて、作風がガラッと変わったかのような面白さがあった。

歌詞のないOPもこだわりが感じられる。

原作との兼ね合いで2期ができるかどうかは分からないが、この先のストーリーが知りたいと強く思える、2021年春クールの中でも特に上位に入る良作だった。