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たまには長文を

ふらいんぐうぃっち感想

2016年の作品だが見る機会を得たので視聴。非常にのんびりとした作風。魔法も軽くしか出てこないし、それで世界を変えるようなことにはならない。いつの間にか惹き込まれあっという間に1話が終わるような優しい作品だった。

(以下ネタバレあり)

 

のんびりまったりとした作風なのは誰の目にも明らかだろうが、本当に何もない日常を淡々と見せられたのかと言えば全くそんなことはない。毎回確実に色々なことが起こっているし、いろんな人に出会って真琴たちの人間関係も広がっている。

思うに、のんびりとした空気にする「工夫」がすごいのである。

キャラクターたちは未知の現象に遭遇しても特に驚かない。見たものを見たままに捉え「まぁそんなこともあるよね」と言わんばかりの心の広さを持っている。器の大きさと言ってもいいかもしれない。言葉を変えればある意味鈍感なのかもしれないが、みんながそんな感じだから私たち視聴者もいちいち振り回されない。

ただしそれだけでは何を見てもリアクションがない不気味な世界にもなりかねないだろう。そこで喜怒哀楽を全面に表現する千夏の存在が光るのだ。

Wikipediaの記述を信じれば、本作はスタッフの選定から丁寧に進めてきたらしい。青森出身の三上枝織の起用もその一つだろうか。

人に会えばきちんと挨拶をするし、食事をごちそうになればしっかりお礼も言う。家の手伝いもする。こうした当たり前のことを当たり前にやるところまで丁寧に描いているから心地よいのだ。

この心地よさこそが「癒しの魔法」だったのかもしれない。