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たまには長文を

社長、バトルの時間です!感想

ツッコミどころは多々あるが、一言で表現するなら全く面白くないお笑い芸人の漫才を強制的に見させられているような苦行だった。
私はニコ動で視聴したから最後まで見ることができた。大量のツッコミコメントが添えられていなければ到底見終わらなかっただろう。何かと評判の悪いニコ動だがまだまだ存在価値のあるプラットフォームである。

(以下ネタバレあり)

 

最初に良いところを書いておくと、堀江由衣の安定感。以上。こんな退屈な作品でも丁寧に演じる堀江由衣って本当に一流声優だなと思う。
ヒロインたちの髪の色が紫・緑・青と寒色なのは新鮮だった。


ストーリーは社会経験のない脚本家がネット知識で社会風刺を書いた感じ。第1話第2話の公務員試験レベルの民法と経済学クイズに正解して喜んでる辺りで既にキツい。バトルの時間ですとか言いながらバトルしない展開が乾いた笑いを誘う。その背中の武器はいつ使うのかね。

社員・事務・経理・経営方針・執行役員みたいな単語が飛び交う変なリアリティが見ていてむずがゆい。明らかにスベっているのだが、このテンションを最後まで貫けばあるいは面白いと思えるかもしれなくて、序盤では正直少し期待していた。

しかし第4話くらいで軸がぶれてくる。ただのファンタジーになってしまったのだ。
12歳のマリカは不機嫌になるとトーマスを殴る。平成初期ならともかく今の時代無意味に人を殴るのはギャグとして成立しない。

ニートの主人公・ミナトが社長社長と持ち上げられるのも、4週も続くとさすがにみじめな気持ちになる。

 

中盤に見どころはないのでばっさり最終回まで進もう。
もちろん期待通り最終回も茶番だった。

苦労して獲得したキラクリを消費して女神を呼び出し、行方不明の父親の居場所を聞こうとしたミナト達に対して女神が告げた回答は
係長権限の女神なので教えられない
だった。
バカか!? 
何? 実は裏で「いかにして視聴者をイライラさせるか選手権」でも開かれていたの?

本作全話脚本のシリーズ構成・猪原健太は慎重勇者でも全話脚本やっていたのにこの差はなんなんだろうか。


ということでまとめ。
ギャグのツボがことごとく合わなかった。
唯一楽しかった(※面白かったではなく楽しかった)のは、上記の係長女神云々のシーンでニコ動のコメント欄が「は?」で埋まったこと。あの一体感。一同総ツッコミ。
自分の笑いのセンスがズレていて、実は多くの視聴者は存外楽しく見ているのではとも思ったが、やはりそんなことはなかったのである。