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たまには長文を

荒ぶる季節の乙女どもよ。感想

思春期の、それも性的イベントからは距離がありそうな文芸部の女子高生が性に振り回される物語。

(以下ネタバレあり)

 

引きこもり生活を送っていた岡田麿里が描く性の物語は重く心にのしかかってくるようだった。

端的に言えば見るのが嫌になる痛々しいシーンやセリフが多かった。配信開始から1週間以内に見なければならないニコ動で見ていたからこそ全話視聴できたが、普通にテレビ放送を録画していたらおそらく途中で見るのをやめていたと思う。

例えば和紗が泉の部屋のドアを開けたら泉がシコってたシーンはキツかった。ギャグの作風じゃないから余計に笑えない。

各キャラクターの悩みは真剣なのものだし、本で性的な単語を見るだけで興奮する時期特有のエネルギーというか「圧」がすごかった。

「好き」と「性欲」がうまく結びつかずに「あああああああ」ってなるのをはたから見るのはしんどい。

本郷ひと葉が先生とラブホに行ったり終盤で十条園絵が妊娠して退学したりキャンプファイヤーで告白したりする展開は私からすれば完全にフィクションに感じられるのだが、もしかしたら"普通の偏差値の"高校ではそこそこあることなのかもしれない。

最終回のラストも強烈だった。
電車がトンネルに入るのを指して「入った♡

「入った♡」じゃねーよ!!!

幼馴染であるが故に「好き」だけど性的な対象としてお互いを見られなかった二人が""結ばれた""ことを、最終回の一番最後に、こんなこじらせ童貞の比喩で表現するんだから岡田麿里という奇才は本当に女性なのか疑ってしまいそうだ。


最後に少しだけ余談。

こうしてテキストで書いたり消したりしながら整理して感想文を書いていると全体的に重くてリアリティも感じられる作品であったのに、直感的には「自分には関係ない」という壁みたいなものがずっと私の中に残っていた。

それは私が恋愛とか青春の要素が全くないまま10代を終え、20代すら終わりが見えてきた状態にあるからだろう。
もし違う青春時代を送っていたら、この作品に感じる印象ももっと変わってきたのかもしれない。