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たまには長文を

可愛ければ変態でも好きになってくれますか?感想

久しぶりにヤバい作品に出会ってしまった。
電波に乗せて放送して良いレベルに全然届いてない。

(以下ネタバレあり)

 

見た人ならわかると思う。とにかく作画がおかしい。
アニメ業界では作画崩壊という単語がしばしば使われるが、これは主に納期に間に合わず下書きのクオリティで放送された場合に用いられる言葉だ。

しかし今回の場合は事情が少し違うように思われる。
というのも、第1話の最初から最終話の最後まで一貫しておかしいのである。

キャラクターはあらゆるシーンで基本的に正面を向いているか不自然に横を向いている。廊下を歩こうものなら足の動きとスピードがあっておらず床を滑って平行移動しているようだった。テレビが白黒だった時代の鉄腕アトムでももう少しうまく歩く。

背景もおかしい。
主人公の部屋の天井は主人公の身長の2倍以上あるし、学校の渡り廊下に柱なんて概念は存在せず、ニコ動のコメントには「違法建築」の文字が並んだ。
中でも学校の廊下に設置されている火災報知機の赤いボタンが主人公の頭の位置にあるのは特にヤバかった。そのボタンの位置だとヒロインの身長より高いんですけど……。

背景と言えば、ほとんどのシーンで背景にモブキャラはいない。

デパートでも遊園地でもプールでも貸し切り状態になる光景は、違和感を通り越して不気味でさえあり、叙述トリックの巧妙な伏線なのではないかと疑ったほどだ。

もちろんたまには背景に通行人がいるシーンもあったが、「通行人がいるシーンもあった・・・・」と表現している時点でどれだけおかしいか伝わるだろうか。

メインキャラしか映らず背景や空の1枚絵で数秒会話するシーンも多くて、本当に間に合っていなかった感じが伝わってくる。


だがしかし作画がイマイチなだけなら私もここまで騒がない。
すなわち、作画以外もおかしいのである。
BGMは、どこかのフリー素材でも持ってきたのかと思うほどシーンに対してフィットしておらず存在感が強すぎた。そもそも用意すべきBGMの数が足りておらず無音のシーンが多すぎる。効果音もおかしかった。


最後にせめてものフォローをしたい。
こんなめちゃくちゃな作品だったのだがストーリーだけはそんなに悪くなかった。
パンツと共に机に置かれた差出人不明のラブレター。部室のドアには鍵が掛かっており密室状態。つまりこんなことを実行できる人物は限られる。
変態ヒロインを一人ずつ検証しながら、主人公は真相に迫っていく。そして辿り着いた意外な犯人とは――。

と書くと、面白そうに見える。いや終盤は確かに面白かった。

なんでこんなことになってしまったのかと思うと本当に残念である。
人が足りなかったのか、時間が足りなかったのか、資金が足りなかったのか、制作陣の能力不足か。

誰が/何が悪かったのか分析したくなるレベルでおかしい作品だった。
監督はいまざきいつき。
あいまいみー』で有名だが、あとは何も言うまい。