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たまには長文を

プリンセスコネクト!Re:Dive感想

コロナウイルスで大変な中、一度も作画が崩れず、それどころか常に高いレベルを維持したことがすごかった。戦闘シーンでもFateで見たような凝ったエフェクトをたくさん使ってきて軽く劇場版みたいなクオリティだった。

(以下ネタバレあり)

 

金崎監督自らほぼすべての回の脚本と絵コンテを担当する大車輪の働き。経験上こういう作品は軸がブレないから面白いことが多い。

原作のソシャゲをプレイ済みであることを前提としたストーリー展開だったので私にはバックグラウンドはよく分からなかったが、それでも十分面白かった。
なぜ主人公が記憶喪失なのか、アメスとは何者なのか、陰から主人公を見守っていたキャラたちはどういう立ち位置なのか等々、気になったところは多いが全く不快ではなかった。
大事なのはすべて説明することではなく、何かしら根拠があることを匂わせつつストーリーをスマートに進行することである。

(私がこれまでに見てきたアニメの中で、詳細をほとんど描かないのに面白かった作品で印象に残っているのは『境界線上のホライゾン』(2011年、2012年)です。)

基本的に1話完結式でシリアス描写も織り交ぜつつ楽しい雰囲気に重きを置いた構成はとてもバランスが良かった。

実は、EDテロップのキャスト欄で一番上がペコリーヌなのが第1話を見た時から不思議だった。どう見ても主人公はユウキなのに。しかしその理由は最終回で明らかとなる。誰よりも美食殿を思い、厳しい運命にも負けずに立ち向かうペコリーヌもまたこの世界の主人公だったのである。叙述トリックとまではいかないだろうがかなりインパクトのあるどんでん返しを見せてもらった。それがEDテロップのキャスト欄の順番という、意識して見ない人なら気づかないようなところに仕掛けを施したことも含めて「お見事」と言いたい。

ただし、最後のシャドーの問題が何も解決していないように見えるのは少し引っかかった。村人とか町の住人が何人も消えているのだからもっと騒ぎになってもいいはずだし、あれだけ町も破壊されて深刻そうな問題になっているのになんとなくハッピーエンドにするのは無理があるのではなかろうか。
まぁこの辺は原作をやれということなのかもしれないし、この点を差し引いても2020年春クールでもトップクラスに完成度の高い作品だった。