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たまには長文を

乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…感想

どちらかと言えば女性向けな作品かと思いそれほど期待していなかったが、いい意味で期待を裏切られる良作だった。

(以下ネタバレあり)

 

異世界転生モノは大別すると、その世界で何かを成し遂げるかどうにかして元の世界に戻る方法を探すか、受け入れてその世界で生きていくかのパターンに分けられる。原作者の考える世界観や設定の作り込みの深さが問われる重要な要素の一つだ。

その意味で主人公・カタリナの目的は極めて明快であった。すなわち、破滅フラグの回避である。数多あるサクセスストーリーの中でも「破滅回避」の一点特化で物語の土台を固めたのは、おそらく多くの視聴者はあまり意識していないだろうがすごいことだと思う。

通常ならゲームにおけるノーマルエンドは失敗であり、ゲーム原作のアニメにおけるノーマルエンドは当たらず触らずの結末である。ところがカタリナの場合は国外追放や死亡を回避するノーマルエンドこそがハッピーエンドに該当する
言わば一段ズレているのだ。
このズレが新鮮であり、全力でノーマルエンドを目指す説得力を確立している。
それでいて国外追放された場合に備えて着々と農業に勤しむ展開も好き。常に次善の策プランBを考えておくのはBCPの基本よ(社畜

ストーリー展開はカタリナが男女問わず片っ端からたらし込むのが面白かった。メイドのアンの心まで掴んでいる回は少し感動した。これが男主人公で男女問わず落としていく展開だったらどこか違和感があっただろうし、女主人公が為せる構造なのだろう。

内田真礼の演技力も大きかった。とぼけた声から叫び声まで表現の幅が広く台詞量も多かった。主役級も含めて非常に多くのキャラを演じてきた経験からくる「プロの演技力」を感じた。


物語は綺麗に終わったのに2期をやるらしい。1期全12話でしっかりまとまった作品だけに第2期をどのようなテーマでやるのか気になる。面白かったので続きも期待して待ちたい。