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たまには長文を

痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。感想

極振りって極振りって読むんだね。てっきり極振りは極振りって読むものだと思っていたよ。

(以下ネタバレあり)

 

序盤第3話くらいまではここ数年でもトップクラスにヌルヌル動く変態作画だった。ちょっと椅子に座る動作でもよく動いていたし、座りながら会話するシーンで足を動かしたり、テキストを読むシーンで微妙に瞳を左右に動かしたりと、「とにかく何か動かす!」という制作陣の熱い魂が伝わってきた。

かと思えばキャラはコミカルに表情が変わるしジト目や><みたいな眼も多くて可愛かった。スキルを得て金髪になったり化け物になったりするメイプルが可愛かった。(化け物になる美少女主人公がいるらしい)

ストーリー面では、普段ゲームをしない楓が純粋に楽しんでゲームをしている雰囲気がすごく良かった。序盤の雑魚キャラを倒すだけでも楽しそうで、見ているこっちまで楽しかった。

「主人公が防御力極振りの毒使い」なのがもう最っ高。普通なら中盤で出てくる敵のポジションだろうに、主人公がそのパターンにした作者の采配に拍手を送りたい。

一人だけおかしな方向にレベルアップしていく楓(メイプル)に頭を抱える運営側や、毎回最後に傍観者の立場でチャットする人たちなど、色々な立場からの意見があったのも群像劇が好きな私の好みにマッチしていた。
「主人公とその他」ではなく、それぞれの登場人物が一つの世界を作っていることもよく伝わってきて世界観に深みをもたらしている。

一方で途中からメイプルがロボットアニメのごとく"武装"し始めたのは流石に迷走だと思う。その時の絵コンテがワタナベシンイチだったのでアニメ化するときに最初から狙っていたのだろうし、90年代のロボアニメのような作画を2020年に見られたのも確かにポイント高いのだが、防御力に特化し過ぎて足も遅ければ攻撃力もゼロに近いメイプルの個性はどこに行ってしまったのか。
上で書いた通り「防御力の高い主人公が毒を使って持久戦でじわじわ勝つ展開」を見たかったのに、結局意味不明な攻撃力で敵ギルドを一掃してしまったのは正直がっかりした。

不安になるくらい声優が豪華だったのも印象に残った。誰もが知る有名声優から玄田哲章皆口裕子といったレジェンド声優までどうやって集めたのだろうか。

やたらスタイリッシュなBGMも含めて全体の雰囲気が良く、あらゆる要素が高いレベルでまとまった良作であった。

最終回放送後に示された第二期制作決定も嬉しいが、だいぶインフレも進んだしメイプルの化け物化はこれ以上進むと冷める危険もある。作者が楽しいで書ける時期は過ぎてしまったようにも思われる。

私は大沼心監督のファンだが、湊未来監督の「二人監督制」も無事に機能したものと思うし第二期をどう仕上げてくるのか期待して待ちたい。