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たまには長文を

劇場版 トリニティセブン-天空図書館と真紅の魔王-感想

CV松岡禎丞のカッコいい主人公、個性的で魅力あふれるヒロインたち、豪華声優陣の確かな演技力、ヤバいヤバいと言いながら全く緊張感のない戦闘シーン(褒めてる)ZAQの熱い主題歌、TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDのスタイリッシュな楽曲の数々――。

人によっては――安直なハーレム展開に飽きるかもしれない。
人によっては――緊迫感のないバトルに冷めるかもしれない。
人によっては――癖のある作画に違和感を持つかもしれない。

しかし、私にとっては――全ての要素が絶妙なバランスで調和した究極に大好きな作品なのだ。

TV放送が2014年だったことを思えば、2019年に2度目の劇場版が公開されたこの事実こそが私のみならず多くのファンを獲得した証拠なのかもしれない。

(以下ネタバレあり)

 

【あらすじ】
アラタリリスアキオ、そしてルーグの4人はある遺跡の調査に来ていた。そこはアキオの故郷の跡地であった。すると突然まばゆい光に包まれ、4人は「天空図書館」にワープしていた。そしてアラタの魔王因子に反応して封印から目覚めた紅の魔王“アビィス・トリニティ”が現れる。顔がアラタそっくりの彼こそは、かつて「暇つぶし」でアキオの故郷の街を一瞬で消滅させた張本人である。
その圧倒的な力を前にアラタたちは歯が立たず、リリスが連れ去られてしまう。実はリリスはアビィスの娘だった。リリスを利用して魔王の力を完全に取り戻し世界を無に還すことを目論むアビィス。一方アラタはアビィスを倒しリリスを取り戻すべく魔王兵器を探すことにした。
王兵器を見つけ手にしたアラタであったが、力が足りず暴走させられそうになる。リーゼのテーマ「停滞スタグナ」で時を止めなんとか事なきを得たアラタは、リーゼの数秘術ロゴス・アートを会得しトリニティ(3つの魔道を極めし者)になることで魔法兵器「黒皇剣ジュデッカ」を取得した。
ジュデッカやトリニティセブンソライリアの力を合わせてアビィスを倒したアラタはリリスを奪還した。


とりあえず、理屈を抜きにして「大好き!!」って感情が一番強い。
私のために作ってくれたのではないかと錯覚するほど全てが私の好みに合致している。

人を選ぶ作品だと思う。ハーレムものだしやたらヒロインの服は破けるし顔の作画は若干クセがあるしところどころ劇場版らしからぬ省エネ作画も見受けられる。
しかしそれもこの作品特有のいい意味での緊張感のなさであり、全体として仲間を大切にするという芯が通っている。

ストーリーの面では、この映画最大の見どころはアキオがデレたことだろう。かわいかった。本当にかわいかった。ただただかわいかった。こういう展開があればぜひ見たいと思っていたが、完全に希望通りだった。自分のために作ってくれたのかと思った根拠の一つが今作の展開である。
高身長でさっぱりしていて特にアラタに対して好意を持っている様子はなかったからこそ、こういうキャラがデレた時の落差たるや、ヒロインの中でトップだったと言えよう。
恋愛に興味なさそうなボーイッシュなキャラがデレるのってどうしてこんなにかわいいんだろう。最高の二文字に尽きる。

黒皇剣ジュデッカのCVが伊藤静なのも良い。アラサーオタクの心をがっちり掴みに来ている。台詞は少なかったけれど"次"があるならもっと声を聴きたい。

そしてなんと言っても音楽。これならOVAでいいじゃんという感想も目に入ったが、TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDのスタイリッシュな楽曲を大音量で聞けるのは映画館だからである。これだけでもお金を払う価値がある。

劇場版でもTV版2期でもいいからなんとか続編を作ってほしい。