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たまには長文を

劇場版 トリニティセブン―悠久図書館と錬金術少女―感想

公開初日の朝一に見てきた。
確かに劇場版ではあるけれど、クオリティがめちゃくちゃ高いというわけではないので肩の力を抜いて楽しむべき映画。
OVAを劇場で!」


(以下ネタバレあり)

 

 

個人的にトリニティセブンは大好きな作品だ。

 

スタイリッシュな音楽、可愛いキャラクター、前向きでさっぱりした主人公。
放送当時は2周したし、楽曲も入手して(レンタルだけど)今でも聴いている。ボーカルが入っていないインストverも大好きだ。

しかしながら、やや癖のあるキャラデザや真剣味の無い戦闘、繰り返されるラッキースケベ等々、万人受けするタイプの作品ではないし映画化すると聞いた時も正直信じられなかった。

それでも公開初日の朝一の放映ということもあってか席はほぼ満席だった。
どうせ客少ないだろとひそかに思っていたので危なかった。

 


【あらすじ】
アラタがリリスの魔導書に触れた瞬間、魔導書が人間化して少女になった。アラタをパパ様、リリスをママ様と呼ぶその少女に「名前を付けて」と頼まれたアラタは「リリム」と名付ける。
また謎の声に導かれ悠久図書館の白き魔王、ラスト・トリニティが目覚める。彼はアラタを倒すために生まれた存在である。
アラタたちはかつて敵対していたルーグとも協力し、ラスト・トリニティを迎え撃つ。ラスト・トリニティに魔力を吸われたアラタは戦闘不能になるが、アラタとリリスの魔力で生まれたリリムの力を使うことでパラディンモード(だっけ?正式名称忘れた)になり、ラスト・トリニティに勝利する。
魔力を使われたリリムは消えることになってしまったが、いつかまた会うとアラタと約束し、消滅した(魔導書の形に戻った)。
戦いを終えパラディンの姿を解除しようとしたアラタは、お約束の通り?(レヴィとルーグ以外の)全員の服がはじけ飛ぶ「すっぽんぽん魔術」を発動させてしまうのだった――。(めでたしめでたし)

 

単刀直入に言って、面白かった。
これが俺たちの見たいトリニティセブンなんだという感じ。

 

もう少し具体的に掘り下げていこう。 

白き魔王について。
まぁ言ってしまえば脚本上都合よく作られた敵。
Wikipediaを見ても本編と繋がるような記述はない。
本編に影響しないように番外編は番外編だけでグローズドされてないといけないから仕方がない。劇場版やOVAの宿命である。
ただ、設定からして「アラタを倒すために生まれた存在」ってダイレクト過ぎる。それっぽい動機を作ればいいのに。でもその辺の潔さもこの作品の魅力なのかもしれない。

 

リリムについて。

なんと言っても日高里菜ボイス、これに尽きる。元々この作品には今のアニメシーンを代表する声優陣が揃っている。その中でも埋もれないお姫様ボイスを出せるのは日高里菜しかいない、そんな起用の意図を感じた。
実際、劇場版限定のオリキャラ日高里菜の起用といえば昨年2016年の「劇場版アイカツスターズ!」がある。

 

ルーグについて。
TV版で敵対していたとは言ってもそれほど本気じゃなかったし、ここで仲間になるのは違和感がなかった。むしろ「かつて敵対していた相手と協力する展開」は好きなので良かった。意外とツッコミキャラなのもかわいい。

 

次にストーリーについて。
冒頭はキャラ紹介。放送自体は2014年秋クールなので2年以上前だ。おさらいの意味でもこの導入は上手い。後半も劇場版らしい「全員で戦う展開」で文句なし。

ただ展開は上で書いた通りで、収束まで含めて"どうやってもこうにしかならない"ストーリーだった。

というのもそもそもこの映画、65分しかない。
例えば同時期に公開されたSAOは120分だから半分しかない。

位置付けとしては劇場版というよりもOVAに近い。

しかし「これならOVAでいいじゃん」という意見には同意できない。

むしろ「OVAを映画館で見られる!」と捉えた方が良いと思う。

 

EDアニメーションが無いというのもまた随分と割り切った判断だと思う。
もっとも、EDテロップでスタッフの名前を見ているせいでEDアニメーションを見逃しがちな私としては、助かったとも言える。


一人称が「ボク」のキャラが好きなので、HPで公開されていた新キャラのアナスタシア=Lには期待していたのに、結局しゃべったのはED後のエピローグでの数十秒でがっかりした。続編があると信じて期待したい。


実はこの映画で一番すごいのは、これを映画化できるKADOKAWAの財務的体力なのかもしれない。

 

時間の制約からくる粗は確かにあったが、大好きなトリニティセブンという作品を映画館で見られた。

それで十分過ぎるほどの満足感だ。