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たまには長文を

ストライクウィッチーズROAD to BERLIN感想

欲しいところに欲しい展開が来る圧倒的な気持ちの良さ。12話全体の使い方含めて緻密に練られた見事な作品。


(以下ネタバレあり)

 

【簡単なあらすじ】
ベルリン奪還に向けて第501統合戦闘航空団「ストライクウィッチーズ」が再結成し静香が加わった。氷山に化けたり井戸に潜んだりとこれまでと異なるネウロイを打破しながらベルリンへ近づく。一方芳佳は魔法圧が安定しない状態に陥ってしまいまともに飛ぶこともできなくなってしまっていた。終盤ではある程度戦闘に耐えうるようになったものの、魔法力の回復に時間がかかる状況であった。それでもベルリン奪還作戦は決行される。補助として参加していた芳佳を助けるべく静香は命令を無視してベルリンの壁内部に侵入、致命傷を受けるも触発された芳佳の魔法力で回復し、芳佳の復活した魔法力で見事ベルリン奪還は果たされた。

終盤まで各回一人ずつスポットライトを当てていく物語全体の構成は第一期(2008年)や第二期(2010年)と同様ながら各キャラの価値観や想いを丁寧に掘り下げていく脚本は今回も素晴らしかった。

第7話恒例のエロハプニング回も健在。あまり上品とは言えないが日夜命がけで戦う彼女たちの違った一面が見られて、これを7話目に持ってくるのがよいアクセントになっている。

19歳のミーナに魔法力の減衰が始まっていることが示唆され時間の有限性が作品の雰囲気をピリッと引き締める。この辺の見せ方も絶妙。単にキャラの誰かに「時間がない」と言わせてもこれだけの説得力は出せないだろう。語らずして見せる脚本の妙が冴える。

そして終盤。直前まで命令は絶対であることを2.3回繰り返しておいて命令無視。単なる命令無視ではなくインパクトのために助走をつけておく脚本がこれまた最高。そして突撃して突破口を開く役目を静香にやらせることで彼女の成長を描く。致命傷を負って意識を失う静香を抱きかかえてついに芳佳が覚醒して復活する。最後は芳佳お得意のチート級魔法力でベルリン奪還を果たす。

一連の流れがとにかく見事。欲しいところに欲しい展開。こうすれば胸が熱くなるでしょってのを目の前で見せられてめちゃくちゃ気持ちいい。
第一期が2008年であることを思い出してほしい。12年経ったこの2020年の末に、よくネタ切れもせずここまで面白いシナリオが書けるものだ。
間違いなく見て良かったし、ストライクウィッチーズを知っている人でまだ本作を見ていない人には自信を持ってオススメしたい。