change direction

たまには長文を

いわかける! -Climbing Girls-感想

アニメ演出とは何か。そして演出が悪いとどうなるのかが非常によく分かる事例。

(以下ネタバレあり)

 

作画はもう一息と言ったところ。ただストーリー自体は良いものだった。パズルゲームで全国優勝したことのある主人公・このみが高校入学を機に新たなことを始めようとクライミング部に入る。優勝を目指すチームに加わり、ゲームで鍛えた空間認識能力とバレエの経験からくる柔軟性を生かしてまっすぐに成長していく。なんとも王道なスポーツであった。

特徴的なキャラも多く入れ代わり立ち代わり主人公たちに絡んでいく展開がテンポよく飽きさせない。

しかしこれらの良いストーリーと全く噛み合わないのが数々の謎演出である
場面の切り替わりは唐突で、心理描写の際に挟まれるカットもよく分からない。ニコ動で視聴していると毎回何度も「謎演出」のコメントが並んだ。ストーリーも毎回まとめることもなく突然EDに突入する。最終回でさえそうだった。優勝を決めこれまでを振り返りエンディングにOP曲を流す手堅い王道脚本……かと思ったら、BGMも突然切れてOPに突入する全く意味不明な幕切れであった。
BGMの音量が安定しないのも初めての経験じゃなかろうか。


「演出が悪いとアニメはこうなる」ということを勉強する素材として本作は伝説になると思う。

不可解なのは、こんな演出をしたスタッフは誰なのかということだ。
監督のアミノテツロは80年代後半から監督経験のある大ベテランだし、シリーズ構成の待田堂子は私がアニメ界で一二を争うほど好きな脚本家である。ネット上ではクソアニメ担当などと心無い評価がついていることもあるが、最終話まで見れば心に残る温かいストーリーを書く方である。繰り返すようにシナリオ自体は良かったわけで。
助監督の松川朋弘を疑ったりもしたが、演出は毎回別の人がやっているので「毎回演出がおかしい」理由にはならない。

一体この謎演出の数々は誰の仕業だったのだろうか。