マイナースポーツの正統派スポーツアニメ。楽曲のクオリティの高さも光った。
(以下ネタバレあり)
試合中に相手チームの選手の内面まで丁寧に掘り下げる展開は『咲-saki-』シリーズを思い出す。
シリーズ構成にして全話脚本は、私がアニメ業界で一番好きな脚本家である待田堂子。最近では『球詠』(2020年)や『いわかける』(2020年)を手掛けている。
アイスホッケーに初めて触れた手芸部の主人公たちが徐々にその面白さに惹かれていく過程がなんとも可愛らしい。勝利のために基礎体力を上げようと努力する描写も忘れないのが手堅い。最初から何でもできる天才はいないのである。
キーとなるキャラクターはやはり
釧路スノウホワイトで活躍し高い実力がありながら喧嘩別れのような形でアイスホッケーから離れた優が、日光ドリームモンキーズで再びプレイしながら人間的にも成長していく王道のストーリー運び。
そして優以外のキャラもしっかりと掘り下げられ、じっくり丁寧に成長していく過程を描いていて毎回見ていて心地良かった。さらには対戦相手となる釧路スノウホワイトのキャラたちの「勝利へのこだわりに対するズレ」も描いていて、とことんキャラの心情を大事に作ったことが感じ取れる。この辺りはさすが私が大好きな待田脚本。
前半と後半を分ける小休止的な水着回にしては薫子の成長を描く良い回だった。どのキャラもないがしろにしない待田脚本らしい温かさ #プラオレ
— ロブ (@vector_AB) November 21, 2021
さて、アニメ公式HPには「プラオレ!は日本のアイスホッケーを応援しています」と記載されたページがある。全国各地のアイスホッケーチームを一覧化し紹介するとともに、アニメ・プラオレへの応援メッセージまで載せている。取材するのも大変だったろう。このページまで見た視聴者はいるだろうか。
このことからも本作が単なるスポーツアニメとしてだけではなく、アイスホッケーというマイナースポーツの魅力を伝えようとしていることが分かる。
実際その熱意は作画に現れていて、パックをシュートするシーンのダイナミックな作画は見どころの一つである。そのほか、削れた氷が「カメラ」に付着する演出も新しい。
(剣で切られた人や魔物の血が画面に付く演出はたまに見る。最近だとひぐらし?)
スピード感を出すために、飛ぶパックの作画を「0,2,4,6,8,10」じゃなくて「0,1,…(溜め)…,9,10」って感じで描いてるのが良い。これは作画班、""分かってる""ねぇ #プラオレ
— ロブ (@vector_AB) November 14, 2021
カメラに氷がつく演出? いいねぇー #プラオレ
— ロブ (@vector_AB) December 12, 2021
音楽も良い。
OP「ファイオー・ファイト!」は作詞・只野菜摘、作曲編曲・田中秀和。これは『灼熱の卓球娘』(2016年)のOPのコンビ。強烈に頭に残る曲だった。
尺的にもストーリー的にも若干無理やり詰め込んだ感がしなくもないビクトリーダンスも「アニメだからヨシ!」と割り切って受け入れるべきだろう。私が一番好きなのは「period」
唯一最後まで残った違和感は、同じチームにいるはずの先輩たちがほとんど出てこなかったことくらいである。アニメを見ていると新人たちだけ優遇されているようにしか見えない。
ただ先輩たちまで描こうとすると前述した丁寧なキャラクターの掘り下げが1クールに収まりきらなくなるのは明らかだし、やむを得ない制約だった。
きっと画面外では活躍しているのだと信じたい。スピンオフなんて作ってもいいかもしれない。
実は私、2021年にこうした王道のスポーツアニメに出会っていなかったので1年の最後にこの作品を見ることができて良かった。
#プラオレ 見終わった。いるはずの先輩たちが出てこない違和感以外は本当に良かった。相手チームも含めたキャラ一人ひとりの丁寧な掘り下げと成長は咲-saki-シリーズを思い出す。俺が大好きな全話待田堂子脚本。要所を締めるダイナミックな作画も高レベル。田中秀和のOP含めどの曲も良かった。良作
— ロブ (@vector_AB) December 28, 2021