見るのをやめたくなる苦しい描写が何度も出てくるのにそれでも続きが気になる力強さがあり、随所に心温まる展開もある良作。
(以下ネタバレあり)
大正時代を生き抜く少年と少女の物語。
良家に生まれながら事故で右腕が動かなくなったことで父から捨てられる主人公の生い立ちが涙を誘う。
ペシミストを自称する心を閉ざした主人公が、明るく心優しいユヅと触れ合うことで徐々に心開いていく。その過程がじっくり丁寧に紡がれていて、まるで温かいお茶を飲んだようなしっとりとした満足感で満たされる。
舞台が大正時代であることを意識すべきシーンももう一つ見つけた。
この時代だと出産も現代以上に命がけだろうから「安産祈願」の重さが違うことに我々視聴者は気づかなければならない #大正オトメ
— ロブ (@vector_AB) December 20, 2021
よく言えば「事故で右腕が動かなくなり父から捨てられ人生を悲観したペシミストが夕月とともに生活しながら立ち直っていく展開」なんだけど。
もちろんそこには確かに感動したから全然良いんだけど。
それでもどこか「底抜けに優しい少女にたっぷり甘えてペシミスト治ってんじゃねーか」とツッコむ冷めた自分もいる。
そして何よりこの作品で驚いたのは福田裕子脚本の完成度であろう。(こんなことに驚いているのは日本でも私くらいだろうが)
福田裕子脚本といえばプリチャンが記憶に新しい。シルクちゃんという不気味なキャラを狂ったように出してくる福田脚本。EDでその回の脚本家を確認するまでもなく「福田脚本回だ」と気づいたことも何度もあった。それだけ個性が強いというか、好き放題暴れて悪目立ちする脚本家だと思っていたので見始める前から序盤の時期は半信半疑だった。以下一連のpost
僕「大正オトメ御伽話、純ハートフルストーリーの予感がするな」→シリーズ構成・脚本: 福田裕子
— ロブ (@vector_AB) October 4, 2021
僕「うーーーーん????」
大正オトメ御伽話見始める。私としてはシリーズ構成・福田裕子に戦々恐々ですよ。福田脚本がどうなるのか #大正オトメ
— ロブ (@vector_AB) October 24, 2021
2話まで見たけど福田脚本がまともってことに一番驚いている。ふざけない福田脚本ってこんなに良いんか。プリチャンで狂ったようにシルクちゃんゴリ押ししてた福田と別人か? #大正オトメ
— ロブ (@vector_AB) October 24, 2021
福田脚本が普通に面白いってどういうことなんだ。今期でも抜群の安定感だ #大正オトメ
— ロブ (@vector_AB) November 7, 2021
我ながらどれだけ疑っていたのだろう。ほんの3か月前まで福田裕子の印象がここまで変わるとは思っていなかった。
何か一つの作品だけで脚本家や監督を評価してはいけないのだと初心に帰った。
大正オトメ御伽話見終わった。純恋愛アニメ。プリチャンで好き放題暴れてた印象しかない福田裕子も全話ちゃんと書けばこんなに感動するのかと驚いた、今回で完全に印象が変わった。俺も借金のカタに純粋で前向きで料理上手な14歳のロリ処女を買える家に生まれたかった #大正オトメ
— ロブ (@vector_AB) January 4, 2022