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たまには長文を

戦闘員、派遣します!感想

主人公・戦闘員六号が所属する秘密結社・キサラギは世界征服を企む組織でありながら、最後の最後に悪人になり切れない「人情味」が同情を誘う。シリアス描写でも最後に必ずオチがつくストーリー展開を見ていると、老舗食堂の定食のような安定感を感じずにはいられない。2021年春クールの中でもトップクラスに楽しい作品だった。

(以下ネタバレあり)

 

この作品を見ようと思った決め手はシリーズ構成が菅原雪絵だったから。SAOや魔法科高校の劣等生でメイン脚本の一人だった。複雑な背景を全部説明しないで面白さを表現する脚本が印象に残っていて、個人的に好きな脚本家の一人である。

 

その手腕は本作でもちゃんと発揮された。例えばキサラギ幹部は次回予告くらいでしか出てこないし、別の惑星で奮闘する主人公サイドにどう関わってくるかそれほど描かれない。にもかかわらず毎話たった数分のやり取りが描かれるだけで「何かありそう」な雰囲気が感じられる。
一応悪の組織なのに悪行ポイントを貯められない主人公の小物感もなかなか面白い。やってることが世界征服なのに人間味や人情味が感じられるギャップが良い。

ヒロインではアリスが一番かわいかった。言葉は辛辣なのにどこか愛が感じられ、ダルそうな口調にも感情が乗っている。これがCV:富田美憂だからなおさら良い。

 


最終話はややあっさり終わった感じもするが、ある程度綺麗に終わったのは高評価ポイント。
見終えてスッキリとした爽快感が残る、そんな手堅い良作だった。