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たまには長文を

ラブライブ!スーパースター!!感想

最大の魅力はなんと言っても色遣い。彩度が高くどこで止めても鮮やかな画面が強烈。そして花田脚本全開のストーリーは過去のラブライブ作品で見た展開とも重なって、過去作を知るファンの心に響いたことだろう。

(以下ネタバレあり)

 

色遣いで感動する作品は少ない。個人的に印象に残っているのは
ノーゲーム・ノーライフ』(2014年)※これもシリーズ構成・花田十輝
ハナヤマタ』(2014年)
ステラのまほう』(2016年)
その他、色彩設計では滝沢いづみや出合小都美は昔から注目している。
ラブライブ!スーパースターも私の中でこれらの一員に仲間入りした。これだけ強烈な色遣いの作品に出会えるのは数年に一度である。
ともすれば「画面がうるさい」と思われそうな気もするが、よくぞこの色彩設計で進めたと思う。本作の色彩設計は加藤里恵。初めて見た名前だが劇場版名探偵コナンを何作も手掛けているらしい。この方だけの功績なのかは分からないが、覚えておこう。

 


そんな色彩に劣らずストーリーも力強い。
またまた廃校の危機だったり、主人公の心情で天気が変わったりと、過去作で見かけたシーンが現れる。前に見た展開、と言ってしまうこともできるのだがこの花田節が実際面白いわけで、一度使った設定や演出を構わず再利用してくるあたりが名脚本家たる所以だろうか。
加えて今作では要所に強風が吹くシーンが2回はあった。流石に全12話の作品で同じシーンを複数回使うのには「風、吹きすぎだろ」とツッコんでしまったが、それも含めて花田脚本のてのひらの上で踊らされているのかもしれない。

 

今回メインキャラは5人だったが、むしろ5人こそが12話でうまく使いきれる良い人数だと思う。9人が悪いとまではいわないものの、導入で第1話、以下一人ずつスポットライトを当てていくと9人終わるのに10話かかってしまうからだ。

チーム結成からライバルも出しつつ物語をまとめながら進めるのを1クールでやろうと思えば、やはりこのくらいの人数が最適解なのかもしれない

最後に本作の一番好きな展開を挙げたい。
それは負けて終わったことである。優勝して感動の大団円、でも良いのだが個人的には負けて終わる展開の方がリアリティがあって好き。負けたことで悔しさを自覚してさらに上を目指すところも印象に残った。物語の締め方だけ見れば歴代ラブライブシリーズでも一番気に入った。

放送終了後には第2期の制作もアナウンスされた。負けた悔しさを胸にリベンジに燃えるかのんたちの活躍を待ちたい。

さて最後の最後に、ツッコむのは野暮だと分かりつつも……、どうしてもツッコミたいところがひとつ。
可可ちゃん中盤で、「負けたら国に帰る(からなんとしても負けられない)
みたいなこと言ってたけど帰らなくてよいのだろうか……?