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たまには長文を

現実主義勇者の王国再建記感想

2021年夏クールでは一番ストーリーが面白かった。他の異世界転生モノとは散りばめられたネタの根拠となる知識の量や質が一線を画しており、原作者の知識量を感じられる良い作品だった。

(以下ネタバレあり)

 

異世界に転生した主人公が国王として国造りをする。設定だけ見ると、知能指数の低い世界に転生した主人公が中途半端な知識をドヤ顔で披露する恥ずかしい作品の一つかと思い、放送前は正直あまり期待していなかった。

それでもシリーズ構成に雑破業、キャラクターデザインに大塚舞の名前を見つけてしまったからには見るしかない。二人とも個人的に脚本、キャラデザ界でそれぞれ一番好きな方だからだ。

序盤こそ、高校生から公務員試験レベルの知識を披露して注目を浴びる主人公にむずがゆさを感じたが、部下の努力も尊重し、国土増強に土木工事から始める展開に心惹かれた。

とにかくネタが細かい。そして現実世界リアルとリンクしている。「エルフの森で木々を剪定してしないから地盤が弱くなって土砂崩れを引き起こした」という回があったけれど、この回が放送された時期はちょうど現実世界でも静岡県熱海市で土砂崩れが発生し、上流部でのメガソーラーや盛り土が原因だったのではないかと取り沙汰されていた。

魔法や異能もある世界なので、科学技術が現実世界と同じように発展しているとは限らない。この点も本作は優秀で、異世界ゆえの違いを上手く作り込んでいた。


唯一注文するとすればニコ動で配信しなかったことだろうか。この作品こそニコ動のコメント付きで見たかった。そうすればもっと面白かったと思う。

2021年夏クールのダークホース的存在で、"正統派"な面白さだった。そして最終回終了時には第二部の制作が公表された。これは嬉しい。期待して待ちたい。