change direction

たまには長文を

いよいよ独立する時が来たかも

「そろそろ独立したらどうか」
父は静かにそう言った。
ついに来たか、と思った。
いつかこのタイミングが来ることは確定していたからだ。

(以下、つまらない自分語り)

 

父:サラリーマン。もうすぐ退職。
私:サラリーマン。29歳。こどおじ。引きこもり。童貞。アニメオタク。

もっと早いタイミングで独立する選択肢もあるにはあった。だが生憎家賃補助というものがない会社なので手取りから家賃を全額負担するのが厳しく、とりあえず両親と一緒に暮らす生活を継続することにした。
大学院を修了するまで実家暮らしだった私としては元から一人暮らし願望はなかった。ウチは平凡な一般家庭でそんなに裕福ではない。一緒に暮らすことでお互い経済的なメリットもあった。
何より圧倒的に「楽」である。朝起きれば朝食が、夜帰れば夕食があり光熱費も按分できる。甘えに甘えまくっている。もちろん甘えている自覚はある。両親には感謝するばかりだ。

金のかかる趣味に一切手を出していないのもあって、毎月手取りの半分以上を貯金に回してきた。もっとも、ただひたすらに貯金する生活で20代が終わってしまったのは、それはそれで別の問題だが……

冒頭書いたようにこの生活スタイルがいつか終わることは分かっていた。この家は父の会社が法人契約している仮の住処に過ぎない。父が退職したら出ていくことになる。

こどおじのまま30代を過ごしていくことに対する漠然とした不安もあったし、独立するとすれば父の退職がベストなタイミング。逆にここを逃すとズルズルと冴えない中年まっしぐらである。
まぁ結婚願望もないから別にそれでもいいんだけど。それに一人暮らししていたって冴えない中年になるわけだし。

とはいえ私も29歳。多くの大学生は高校を卒業して一人暮らしを始めていることを思えば、10年遅れで一人暮らしを始めるのに文句など言っていられない。


そうとも。
普通なら18歳19歳で通る道をようやく自分も通るのだ。不安は尽きない。今さらそんなことで不安になるのかと笑われるだろう。物件を探さねば。冷蔵庫や洗濯機も買わないと。毎日の食事はどうしよう。栄養バランスが崩れても体力でなんとかなる年齢は過ぎている。スーパーで野菜を選んでいる自分の姿が全く想像できない。金銭面でも、これまでのようにはいかないだろう。

嗚呼どうしよう……。