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たまには長文を

ご注文はうさぎですか?? ~Dear My Sister~感想

すごくよくできていた。難しく考えずにかわいさを堪能しても良いし、「難しく考えなくてもよい」ようにするための工夫を意識しながら見るのも面白いと思う。

(以下ネタバレあり)

 

【簡単なあらすじ】
実家のベーカリーが忙しい(実際はモカがココアに会いたいだけ)との手紙を受けてココアは一週間帰省することにした。
ココアはチノ達との別れが寂しく駅で大泣きするも、お姉ちゃんの座(?)をリゼに託して出発した。
ココアは久しぶりに家族との時間を、チノ達は久しぶりの「ココアのいない時間」を過ごす。
街で花火大会があることを知ったチノは勇気を出してみんなを誘う。まさかチノの方から誘われるとは思っていなかったリゼ達は少し驚いたが、喜んで一緒に見ようと決める。
浴衣姿でお祭りをひとしきり堪能したのち、青山さんおすすめの穴場にて花火を見ようとしていたチノ達のもとにココアが帰ってくる。たった数日の不在、それでもチノ達はココアを「おかえり!」と迎え入れた。


まずは表面的なところから。
ココアが帰省するという構成が大胆でうまい。
劇場版を作る場合、テレビ版に干渉しないようにするための工夫としてよくあるのは劇場版オリジナルキャラを登場させラストで別れるという手法である。
ところがまさか主人公がステージから離脱するなんて
しかしその結果ココアは家族との日常を、チノ達はココアのいないかつての日常を体験することになる。この二つの日常が織りなす「非日常」感がこの映画の面白さの核になっている。

実際問題、日常系アニメを60分やるのはかなり難しいと思う。普通にやるとダレる。それをごちうさではこうして2つのステージを用意し巧みに切り替えることで上手くつないでいる。
ココアの実家が田舎過ぎてケータイの電波が入らないという映画独自の設定もこの構造を補完する。簡単に繋がっては意味がないからだ。

キャラの使い方のバランスも良かった。どのキャラも満遍なく登場し誰かの出番が多いとか少ないとか、そんな事はなかった。私は特定の誰かを推しているわけではないが、どのキャラ推しの人も文句は出ないと思う。

制作は1期のWHITE FOX、2期のキネマシトラスを経てproduction doAという聞きなれない会社へ。どうやら新規の会社らしい。中身はほぼディオメディアのようだが制作会社変更の影響は全く感じなかった。

続いて中身の感想。
今回一番魅力的だったのは、個人的にはリゼかなーと思う。お姉ちゃんの座(?)を託されたリゼのラビットハウスでのチノと二人きりの描写が新鮮だったし、ぬいぐるみを自作するかわいい一面も見られた。リゼのかわいい物好きは視聴者なら知ってるけれど、作中で他のキャラに対してここまで明らかにされたのは初めてに近い気がする。
チノから「初めて会った時のリゼはめんどくさかった」と直球で言われているのも笑える。
短時間ながらタカヒロとリゼの父の絡みも面白かった。コテコテの美少女日常アニメなのにオッサンが渋い。

野暮なツッコミとは思うけどモカのバイクシーン、二人乗りできるってことは110cc以上だろうけど(法律的には51cc以上)簡易ヘルメットとノースリーブで乗るのは危なくてちょっと笑うに笑えなかった。まぁそれもウィリーするという非現実的なアクションを起こすことでうまく覆い隠しているとも言える。


ごちうさに限ったことではないがどうしても思ってしまうのは実年齢と精神年齢の差。高校生組が中学生で、チマメ隊が小学生だったらかなりリアリティがあったのに。
まぁ、チマメ隊が小学生だと行動の自由も制限されそうだしココアたちがバイトできなくなるので仕方ないのかもしれない。「このゲームに登場する人物はすべて20歳以上です」みたいな感じで受け入れるしかなさそう。


現時点で既刊6巻であることを踏まえると流石に3期を望むのは厳しいか。
それでも今すぐでなくてもいいから3期を期待したくなる、そんな心地よい映画だった。