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たまには長文を

神田川JET GIRLS感想

エンタメとして2019年秋クールで1番楽しい作品だった。原作がラノベでも漫画でもなくゲームであるが故に、アニメ向けに特化した「設計」ができたのだろう。すべてがバランスよく作られていてとても面白かった。

(以下ネタバレあり)

 

題材は「ジェットレース」と呼ばれる2人1組で行う架空の水上スポーツ。基本的にレースでありながら水鉄砲ウォーターガンで相手を妨害できるバトル要素がありレース中の駆け引きが魅力を引き立てている。
金子ひらく監督らしさが溢れる肌色多めな展開と百合百合しいやり取りに目が行きがちになるが、かつて見た『聖痕のクェイサー』(2010年)のような食傷気味なレベルではなくアクセントとして十分。
主人公・凛のキャラ設定からしてもう上手い。伝説的な母親を持ちながら本人は長崎の離島で育ったためジェットレースの経験がなく、ブーストについても知らなかった。これはほとんど予備知識なしで見ている視聴者のレベルに合わせるのに都合が良い。レースシーンでは実況と解説を「配置」し、ポイントを解説することで視聴者の理解を助けている。もしこれがレース中にキャラが全てを解説している脚本だったら、緊張感もなく説明が延々続くグダグダな駄作に落ちていたことは間違いない。
そしてキャラだけでなく彼女たちが乗るマシンの個性もはっきりしているのも見逃せない。制作のTNKと途中に参加した柳沢テツヤの名前を見て『神無月の巫女』(2004年)を思い出す視聴者が日本にどれだけいただろうか。ブースト時にマシンが少しだけ変形するのがカッコよかった。

ストーリー構成もピカイチ。12話の使い方がうまい。日常回とレース回をほぼ交互にやることでメリハリがついた。徐々に登場するキャラが増えていき、ライバルでありながらも決して敵対せず相手校とも仲良くなっているのも好き。「負けたけどそれもまた良し」という気風が健全なスポーツらしさを際立たせいていて見ている方も気持ちが良い。構成の雑破業(私が個人的に大好きなのを差し引いても)今作でもパーフェクトな仕事をした。

OPもEDも作風とマッチしていて良かった。ゲーム音楽らしいBGMも良い。

キャラデザ的にはヘルズキッチンの貧乳姉妹が最高だった。数少ない貧乳キャラに惚れ込むのは巨乳アニメあるある。

 

一切文句なし!。なんら嫌なところがなく、面白いアニメの教科書のような作り込みで、手堅い良作だった。

 

第1話で神田川はもっと汚いとコメント書かれていたのは違う意味で面白かった。