change direction

たまには長文を

Fate/kaleid liner Prisma☆Illya プリズマ☆ファンタズム感想

カーニバルファンタズムを強く意識していたのは明らか。ドタバタギャグコメディ自体は私も嫌いじゃないのだが単調過ぎた。はっきり言ってもう少し脚本を考えてほしかった。

(以下ネタバレあり)

 

【あらすじ】
4コマ漫画を次々出していく感じ。
慎二の更生と称してアサシン姿の慎二が様々な仕事を経験するネタ。
色々なキャラが激辛ラーメンに挑んでは倒れていくネタ。
小学生4人の変身ネタ。缶蹴り。
そしてエインズワース一味の性転換ネタ。


ネタの前後にほとんど脈絡はなく、単発ネタの繰り返しも多く、不条理ギャグとも言える一部のオチはプリズマイリヤシリーズ、ひいてはFateシリーズという極上の素材を扱うのに最適な選択だったのだろうか。
とてもそうは見えない。

本作の中心は言峰綺礼と慎二。
言峰綺礼は古くからのファンからすれば人気キャラかもしれないが、アサシン姿で微妙にグロい慎二と合わせて「映画館でお金を払ってでも見たいか」と問われれば全然そんなことはない。
激辛マーボーネタも引っ張りすぎ。最後に誰か涼しい顔で食べるのかと思いきやそんなこともなく全員辛さに負ける。どんぶりに顔を突っ伏す絵を何度も見せられる観客の身にもなってほしい。

それより問題なのは慎二。
「射精のn倍気持ちよかった」は本編において狂気に満ちた慎二が一度だけ叫ぶからこそ我々視聴者に強烈な印象を与えたのであって、ネタにして何度も聞かされれば不快でしかない。

序盤の変身ネタも雀花すずか那奈亀ななきの2人だけ。やるなら後半の下らないネタ外して4人やってよ。
そしてエインズワースの性転換ネタは一体何だったのか。笑いどころも分からないしネタにもなってない。

そもそも、イリヤ・美遊・クロの出番が極端に少ない。
公式サイトに「少女たちのもう一つの物語が描かれる―。」って書いてるんだから、何はなくともこの3人を中心にしてほしかった。


まぁ脚本家の悩みも分かる。
シリーズに登場するキャラクターを限られた時間で満遍なく登場させつつ一つ一つの小ネタにオチをつけようと思ったら、そりゃ使い勝手の良いオチ要因がいるよね。慎二みたいな殴られ役が。そういう制作側の都合が見えてしまうのも本作をイマイチ褒められない理由なのかもしれない。

プリズマイリヤ自体はかなり面白かったことも付け加えておきたい。当時はufotableの本家Fateがかなりの高クオリティを実現してきたのに対してプリズマイリヤも構図を工夫した面白い作画があったし確実に面白かった。

監督の大沼心は私が大好きなアニメ監督の一人で、初監督作品であるefを筆頭に、バカテス、六畳間の侵略者、そしてプリズマイリヤと好きな作品ばかりだった。それだけに今回は本当に残念だった。

引き続き期待しているので次は良い作品を作ってほしい。