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たまには長文を

アイカツフレンズ1年目を終えて

アイカツフレンズの1年目が終わった。
第50話まで全部見た。

このブログでも何度か本作に対する違和感について書いてきたものの、全体としてはまぁまぁ楽しく見てきた。なんだかんだ言いながら1話も欠かさず毎週見てきたのは確かだ。

 

噂の通り、作品としての2年目は第50話から1年後の世界を描くらしい。
第50話のエピローグでも「一年後」のテロップと共にやや髪型と輪郭が変わったあいねとみおが一緒に登校するシーンが描かれている。


さて、なぜ突然に1年後なのかと考えると、あるキャラクターの存在に辿り着く。
ズバリ、日向エマである。
高校2年生のラブミーティアはともかくとして、あいね・みお・舞花・さくや・かぐやは中学2年生の設定。それに対してエマは1学年上の中学3年生である。
普通科所属だったあいねが中学2年からアイドル科へ転入し、みおと共にダイヤモンドフレンズになった激動の1年間を終えた今、エマは中学を卒業する運命にある。
この人間関係を崩さずに「続き」を描こうとすると、1年スキップしてあいねたちが高校1年生、エマが高校2年生で同じ高校に所属している環境にするしかない。(「するしかない」わけではないが学校生活まで自然に描こうとすると事実上これしかない)

この大胆な戦略により、同じ高校に進学したという設定でさくや・かぐやと自然に合流することができた。職員・スタッフ陣は引き続きあいねたちを担当するらしいが、実際に中高一貫校ではたまに見られるやり方であり、意外とリアリティは失われていない。


しかし、こんな前置きを置いたところで、このやり方にはどうしたって無理がある。
思春期真っ只中の女の子が、1年――。
1年あれば本人の性格も人間関係も大きく変わる。

この切り取られた1年に何があっただろうか。
ダイヤモンドフレンズになったピュアパレットは次の1年で何に挑戦し、どう成長して何を得たのだろうか。そして何を思い進学したのだろうか。
エマを見送った舞花は、1年間誰と、どのように過ごしたのだろうか。
本格的にアイカツに取り組むことにしたさくや・かぐやはどのように取り組んだのだろうか。

そしてなによりエマである。
エマは一人高等部に進学し、そこで新たな人間関係が作られたはずだ。しかもアイドルかつ明るい性格である。人間関係も広いに違いない。
中学生ではできなかった新しいアイカツや仕事があったはずだし、新たなフレンズもできたのではないだろうか。いやむしろ舞花を待って1年間一人で過ごしたと考えるのは不可能に近い。
おそらく高等部ではたまきさんやケンさんとは違う人からマネージメントやレッスンを受けたはずである。

この、濃密であったに違いない1年をスキップせざるを得なかったのは、結局は企画段階で詰めが甘かったという他ない。
エマだけ年上にしたのはやはりマズかった。

エマだけ年上にしたのであれば、堂々とエマのいない4月以降を描けばよかったのだ。
アイカツスターズを思い出してほしい。第25代S4で1人2年生だった二階堂ゆずは、ひめ・ツバサ・夜空の3人の卒業を見届け3年生になった。
これをアイカツフレンズでもやればよかったのに。エマだけを年上に設定した時点でエマが先に卒業するところまで考えていなかったのだろうか。


ここでひとつ余談を挟みたい。
アイカツフレンズの放送が開始される前に、アイカツ特有の「カードをセットして衣装を身に纏う一連のお作法」がどうなるのか言い当てた人がいたらしい。
曰く、初代アイカツでは「ホップ」、2代目では「ステップ」だったので、3代目に当たるアイカツフレンズでは「ジャンプ」になるのでは、という予想だったらしい。
結果は実際その通りで、みんな真上にジャンプしながら衣装をセットしている。

アイカツのスタッフは前作を超えようと何度も検討したのだろう。あるいは前作を超えなければならないというプレッシャーが内外からあったのかもしれない。
その努力には敬意を表するにしても、結果として無理のある設定や構成により物語の進行とともに歪み大きくなってきた点は残念ながら否めない。

2年目は宇宙から来たアイドルとアイカツをするらしい。始まる前から不安しかない。ヴィーナスアークという豪華客船を超えなきゃいけなくて、宇宙?
どうするアイカツフレンズ。2年目をどう進めていくのか、いい意味で期待を裏切ってくれることを心の底から願いつつ、2年目を迎えよう。