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たまには長文を

エロマンガ先生感想

良くできていたけど、原作側の都合上見ていてキツいものがあるのも事実。

(以下ネタバレあり)

 

伏見つかさ原作の作品としては2010年と2013年放送の俺妹に続く2作目。
俺妹も良くできていたが、妹が自分勝手過ぎるのがやや鼻についてそれほど好きになれなかったのが正直なところ。一方で今作はそんな嫌味もなくどのキャラにも好感が持てた。

作画は終始安定していてどのキャラも魅力的だった。
ストーリー展開も特に気になるところはなく、兄妹で協力して小説を作り上げていく過程をラブコメという枠で丁寧にまとめた印象。
最終回も極めて無難に仕上げた。
松岡君の演技は相変わらずカッコよく、ヒロイン達の演技も上々。
ClariSの綺麗なOPとTrySailのハイテンションなEDはどちらも耳に残る良い曲だった。

悪い点が見つからない。


しかし・・。

「良い/悪い」とは別の「好き/嫌い」という切り口で言うならば、やはり今作もそこまで好きじゃないかな。
まぁ嫌いではないので、相性が悪いと言うべきか。

というのも、結局のところ
こうしておけばオタクは喜ぶんでしょ
っていう制作側の魂胆があまりにも透けて見えすぎるのだ。

庇護欲を掻き立てる銀髪碧眼貧乳引きこもり美少女である義理の妹。そして女の子のパンツが好きという設定。
俺妹ではオタク文化に理解の無い父親がいたが、今作では両親もいない。あらゆる障害を消して萌え要素を収納術のように詰め込むその徹底っぷりには敬意を表するとしても、ここまで来るとキツいものがある。
そもそも「エロマンガ先生」というタイトルからしてもうキツい。
これは俺妹の時からの問題点なのだが、R-18という概念を平気で無視していることに違和感がある。原作者はどう考えているのだろうか。


同時期に冴えカノ2期が放送されていたのも不運だった。
ものづくりに懸ける情熱、生みの苦しみ、人間関係。どれを取っても冴えカノの方が圧倒的に深かった。
そしてチョロさとか主人公に対する好感度MAXな感じは同じレベルであっても、各ヒロインがそれぞれ思い悩む姿がちゃんと掘り下げられているが故にリアリティが全然違った。(しかもどちらも松岡君だし)

 

好き/嫌いは本当に人によるので難しい。本作よりも圧倒的に出来が悪いのに妙にハマる作品はたくさんあるし、逆に良くできていても「良くできてるなぁ」という感想で終わる作品もたくさんある。

もし本作を好きな人でこの感想をここまで読んでくれた人がいるならどうかその点だけは誤解しないでほしい。
最初に書いたように良くできていたのは間違いないし、嫌いというわけではないので。


最後の最後にものすごく個人的な希望を一つ。
ボクっ娘大好きなので高砂智恵(本屋の子)はもっと出番が欲しかったしもっと「ボク」って言ってほしかった。
たぶんヒロイン争いでは真っ先に敗北するポジションだろうけど。