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たまには長文を

アイカツスターズ!感想

ついに、この記事を書く時が来てしまった。

アイカツスターズ!の放送が始まったのは2016年4月。
これは大学院生活を終えた24歳の私がようやく社会に出たタイミングであった。

この2年間、私の生活は常にアイカツスターズと共にあった。

(以下ネタバレあり)

 

困難あるいは未知の領域に対して、どこまでもまっすぐに挑戦していくゆめたちの姿が私の心を掴むのは一瞬だった。

まず最初に虹野ゆめに惹かれた。どれだけ頑張っても「まだ足りない」と言わんばかりにアイカツに励む様子に私も励まされた。
無意識に不思議な力に頼り、無理がたたって倒れ小春を見送れなかった時のゆめの顔は忘れられない。
ひめのアドバイスを聞きさらに実力を付けようとますます努力するゆめは本当に輝いていた。

その後、徐々にローラに惹かれ始めた。
桜庭ローラ。ゆめと同じ歌組に属するが故に、勝てないことを宿命づけられた負けヒロイン。
ゆめがまっすぐならばローラもまたまっすぐだった。むしろ負け続けてなお前進しようと頑張るローラには、ゆめ以上の輝きがあった。

脇役キャラが好きな私にとっては小春も外せない。第72話は全100話の中でもトップクラスに感動した。

 

vector-cd.hateblo.jp

 

ゆめロラ、ゆめこは、まひロラ、ゆずリリ、ひめゆめ、よぞまひetc
全部好き。アイカツは百合アニメではないし女児向けとあって直接的な描写は少ないのだが、たまに「本当に女児向けか?」と思うような描写もあったりして絶妙。そして直接的な描写がないからこそ想像も膨らむというのもある。

劇場版も見に行った。

 

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さて次に、もう少し具体的にストーリーを振り返っていこう。
50話までの第1部はS4という明確な目標があり分かりやすかった。
ゆりと一緒に裏方の仕事を体験したり、不思議な力の影響で倒れたりと話の振り幅が大きく、まさにわくわくが止まらない感じだった。
S4決定戦でゆめがひめに勝てなかったのは個人的にすごく好きな展開だった。
てっきりゆめが勝ってしまうのかと思っていたので、敵わない存在としてのひめと、そしてまだゆめに成長の余地があることを示した勇気ある選択だったと思う。長期シリーズだからこそできたのかもしれない。

しかし51話以降の第2部はそのしわ寄せと戦うことを余儀なくされた。
そのしわ寄せとはずばりパワーインフレである。
ひめの卒業による目標の退場。新たなる目標としてのエルザ・フォルテと太陽のドレス。確かにゆめたちの更なる成長を第2部でどう描いていくかと考えた時に自然な構成であろう。
ただ、ゆめ(とローラ)はアイカツをする意義を最後まで忘れていなかったものの、全体的に目標が太陽のドレスだけにフォーカスされてしまった気がする。
その結果、メインキャラたちが続々と星のツバサを手に入れていく一方で、あこや小春が置いてけぼりを食らうという図式となってしまった。こういう持つ者と持たざる者にはっきり分けられてしまう構図ってアイカツ的にどうなのかと思わないでもない。
そういう意味では1年で終わらせた方が作品としてまとまっていたに違いない。もっとも、第1部でゆめが負けたからこそ第2部でエルザに勝利する対比に見ごたえが増したのもご承知の通りなので第2部にももちろん存在意義はあった。インフレをうまく制御したシリーズ構成が頑張った。
最終回のエピローグでは世界大会のような描写もあり、そこに至るまでの過程を見てみたい気持ちもあるがそれは無理な要求だ。もしやろうとすれば更なるインフレが避けられないし、一人一人が各々自分の道を進むという構図からも離れてしまう。

 

2年というのは短く、長い。
見終わってこれだけ強く喪失感を覚える作品はこれまでなかった。
1、2クールの作品では描き切れない「厚み」は想像以上だった。

 


まだ放心状態に近くていつも以上に書くべき言葉が見つからない。
しかしいつまでも立ち止まっているわけにはいかない。

 

 

――「アイカツスターズ」のアウトロが終わる。
次作「アイカツフレンズ」のイントロが流れてくる。
次の曲へ進めと背中を押されているような気がする。

 

私はこの2年間の人生を支えてくれたアイカツスターズという作品を生涯忘れることはないだろう。


放送は終わってしまったが、ゆめもローラもきっとどこかで頑張っている――。


だからきっと、自分ももっともっと頑張れる。


スタートラインの歌詞を胸に。


夢は見るものじゃなく、叶えるものだから――