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たまには長文を

スクールガールストライカーズ感想

色々なところで「もう一歩!」と言いたくなるが、全体的には悪くなかった。

(以下ネタバレあり)

 

作画レベルはそこそこながら、背景のリアルさが変に際立っていてアンバランスだった。下請けに高いレベルを要求したのか知らないけれど、一番頑張るべきキャラクターの作画がいまひとつなので違和感が強かった。
敵キャラ「オブリ」も小学生が5分で考えたようななんとも情けないデザインで締まらない。作画的には楽だったろうけど。

ストーリーは、最終回手前までは良かったと思う。
キャラが多く別チームともバトル後に仲良くなるところはもちろん、敵だった降神おりがみ三姉妹とも友情が芽生える展開は全体を通して一番好きなところ。
「努力・成長・友情」そんな要素がバランスよくまとめられていて好印象だった。

……最終回手前までは……。

なんなんだあの最終回。
ラスボスモルガナに攻撃が当たるようになった経緯が分からない。
最後に突然消えたのも消化不良。次元を超えて逃げられるのはモルガナの能力なんだからもうちょっとスマートに逃げてもいいのに。
椿芽つばめを元の世界に戻した隊長という名のネコが一体何者なのか、一から十まで説明しなくてもいいからせめて何かを匂わせてほしい。これだと苦し紛れのアニメオリジナル後付け設定に見える。
終わらせるためだけに無理やり終わらせた感じが強い。

今のアニメシーンを代表する女性声優をこれだけ集めたことは確かに評価できる。
しかしいかんせん演技力がない。
これは以前からTwitterでもブログでも繰り返し書いてきたことだが、声がかわいいだけの若手女性声優はもっと演技力を鍛えてほしい。 特に「叫ぶ演技」。
ほぼ茶番に近いとはいえ一応バトルシーンが肝になる作品なのに、叫ぶ演技が棒だと一瞬で白ける。 アルタイル・トルテの5人(石原夏織日高里菜沢城みゆき花澤香菜小倉唯)なんて、一人もまともにできていなかったんじゃないか?
沢城さんだけ周りとキャリアが違うけど、今作では沢城さんも叫ぶ演技に関しては他と大差ないように聞こえた。もっと演技力あるはずなのに。

J.C.STAFF錦織博監督と言えば、当然「とある魔術の禁書目録」を思い出す。第一期が2008年だから、もう9年になる。9年前の作品と比較して勝っている部分はどれだけあっただろうか。ラノベとソシャゲの違いか。「とある」を引き合いに出すのはさすがに酷か。

ネットで感想を漁ってみると、つまらないという声が多い一方で原作ゲームアプリファンには好評だったようだ。 確かにキャラも多く、ストーリーも比較的シンプルで回を重ねるごとに弱かったチームが強くなり仲間が増えていく展開は見ていて楽しかった。
いろいろ不満な点を書いたが、多少の難点に目をつぶりトータルで考えるとそう悪い作品でもなかった。


ゼロ年代前半ならこれで合格だったと思う。
ただ、2017年の作品としては色々ともう一歩。
これが制作陣のできる限界なら文句は言わないが、もっと高いレベルでできる余地が見えるだけになんとも勿体ない。

まぁ原作ファンが喜んでいるならいいか。
何度も同じ言葉を繰り返すけど、本当に「悪くはなかった」から。

(ちなみに個人的に一番かわいかったのは澄原サトカ。)