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たまには長文を

ViVid Strike!感想

魔法少女という単語が外れ、本格戦闘ものへとシフトした。
その作風は想像以上に激しかった。

(以下ネタバレあり)

 


2011年に放送され第3期まで続いたDOG DAYSは、いかにも非の打ち所の無い「平和なファンタジー」という感じで悪意も暴力も存在しない世界観だった。
格闘技が暴力でないことは分かっているが、美少女が骨折するまで殴り合う展開を見ているとDDが"優等生"過ぎた故の反動が来たのかと思ってしまった。

まぁそんな話はさておき、ストーリーはかなり重かった。
なんと言ってもリンネのイジメ描写が壮絶だった。見ていて苦しかった。我慢していればイジメは収まるだろうと思っているところがつらい。そんなことはあり得ない。
しかしそこまで突き詰めたからこそリンネの心の傷の深さは伝わったし、最終回でリンネが精神的に復活するシーンには感動を覚えた。

さすが都築真紀作品というべきかキャラクターが多かった。正直誰が誰だか把握できないまま見終わってしまった。なのは1期から全部見ているのに情けない……。

 


悪い点というわけではないが、キャスティングには政治的要素が見え隠れする。
ダブルヒロインの声優はキングレコード水瀬いのり小倉唯。この二人、基本的に戦うシーンがあるキャラには向いていない声質で、特に小倉唯の方は序盤若干違和感があった。どこか窮屈そうな演技だった。
しかし終盤にはその違和感もほとんどなくなっていた。自分が慣れただけなのか小倉唯が成長したのか分からないが、一応後者だと思っておきたい。
実際小倉唯は叫ぶ演技とか、この役を通して成長したと思う。(上から目線)

余談だけど、最終話の翌週に放送されたViVid Strike! ~ViVid Xmas~とかいう特別番組は、つまらない、イタい、ぎこちないの三拍子でとても見ていられなかった。声優番組が好きな人は好きそう。
それにしたって、出演が水瀬と小倉に加えてMCが上坂すみれなのだからキングレコードのパワーがすごい。

キングレコードついでにもう一つ。
ヴィヴィオが写っている写真で、その背後にいるなのはママとフェイトママが光渡しで消されていたのも気になってしまった。
高町なのはが登場しない以上、タイトルから「なのは」という単語が消えるのは仕方がない。しかし、存在ごと消してしまおうといわんばかりの不自然な処理を施した理由は何なのだろうか。
田村ゆかりキングレコードから特に理由も明かされないまま離れたが、それと関係あるのだろうか。なのはシリーズはなのはの存在を消そうとしているのではないかとつい勘ぐってしまう……。


話を戻そう。
拳で語り合う作品というのも、考えてみるとそう多くない気がする。
同時に、ラノベ原作作品にありがちな「なんちゃって戦闘シーン」に喝を入れる作品でもあったと思う。ここまでやれとは言わないが、臨場感のある戦闘シーンを描きたいならもう少し攻めないと茶番に見える。


全体を通して振り返ってみると、「なのはスタッフが作るのだから面白いはずだ」という一方的なハードルをしっかり乗り越えるだけの面白さはあったと思う。特にヴィヴィオが生まれ持った体格の弱さを努力と戦術で補い勝利した第8話はかなり面白かった。