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たまには長文を

ブレイブウィッチーズ感想

王道の成長物語、魅力的なキャラクター、クオリティの高い作画、親しみやすい楽曲。どれをとっても一級品。

(以下ネタバレあり)

 


トーリー展開の観点からストライクウィッチーズ(SW)と比較すると、SWは各キャラに1話ずつスポットライトを当てて全キャラを丁寧に描写していったのに対し、BWの方は似た構造を取りながらもひかりの成長にウェイトを置いた。ひかり、菅野、ニパの三人を中心に回し、他は脇役といった感じだった。

最初から才能の塊だった宮藤芳佳と比較して魔法力が多くないひかりが持ち前の意地と体力と根性で一気に成長していく過程は端的に言って面白かった。"変化球"な脚本もいいけど、こういう"直球"が結局一番好き。

胸ポケットしまっていた拳銃が銃弾から命を救うという超テンプレ展開もさることながら、お守りとして一発だけ弾を込めていたその拳銃が最後の最後に再び役立つという二段構えが心憎いほど良い。

空と雲の描写が全体的に綺麗だった。背景のクオリティが高いのは本物の証だと思う。手描き作画とCGの使い分けも上手かった。ただし、使い分けが分かるということは裏を返せばまだ差があるということでもある。CGと言えば、11話のCGのレベルが段違いだった。特に爆発の煙。アニメCGもまた一つ階段を上ったと言えよう。

OP、ED共に親しみやすい楽曲なのはSW同様で、相変わらず抜かりが無い。


1944年という舞台設定が本当に絶妙。鉄道も車も電気もあるけどハイテクな武器が無いという状況を最も自然に描写できる。通信も携帯電話じゃなくて無線なのが良い。電波障害で孤立を余儀なくされるシーンも実にナチュラルに映る。

雁淵孝美・ひかり姉妹の関係性も良い。相手のことを第一に考えるが故に厳しく当たり、影でつらい表情をするシーンはこれぞ家族愛という感じがしたし、言いたいことを遠慮なくズバズバ言う菅野直枝の存在も相俟ってなおさら味わい深い。(一応補足するけど直枝みたいなキャラも嫌いじゃない。)

ゲストキャラ的に501のサーニャとエイラが登場したのも好きなポイント。(芳佳も少しだけ登場しましたね。)戦っているのは502だけではないことを、一歩引いた視点から感じられて嬉しくなる。


少し難点を挙げれば、主人公役の加隈亜衣の演技力がいまひとつかなーと思ってしまった。決して下手ではないけれど、叫ぶ演技が単調というか台本を大声で読んでいるだけな感じがして惜しかった。ただ台詞もかなり長かったし責められない。とはいえ調べてみるともう結構な数の作品に出演しているようなので、本当の演技力を付けないとこの先生き残れない気がする。
不思議なのは、ニパを演じた高森奈津美の方がむしろ棒読みに近かったのにこちらは違和感がなかったこと。SWではエイラもかなりの棒読みだったけど違和感はなく、むしろ癖になる声だった。
個人的には叫ぶシーンに関しては加隈より高森の方が上手かったと思うし、「叫ぶ演技」が一つの分水嶺なのかもしれない。


ブレイブウィッチーズ、2期まで続いたストライクウィッチーズと同じ世界でありながら単なる焼き直しではないストーリーを構築し、それでいてSWと同様に直球な展開だった。大満足な一作だった。