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劇場版Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ Licht 名前の無い少女感想

前作の映画『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ 雪下の誓い』を見たのが2017年8月。ちょうど4年経っているが、ついこの間のようにも思えるのはやはり年を取ったからか……。Fate関係作品で言えば厳密には2019年6月に『Fate/kaleid liner Prisma☆Illya プリズマ☆ファンタズム』を見ているがこれは完全に番外編のギャグアニメみたいな作品である。
それはさておき今作も見ごたえ充分の良い映画だった。


(以下ネタバレあり)

 

【あらすじ】
田中が妙な気配を察知し士郎の家を飛び出した。それを追いかけたイリヤは誰もいない学校でエリカと邂逅する。エリカはイリヤに対して自分を殺してほしいと懇願する。夜、エインズワースとの戦いに備え士郎、凛、ルヴィア、イリヤ、美遊、クロエ、バゼット、田中、アンジェリカが居間に集まり作戦を考えていた。エインズワースの狙いを探る中で、士郎と美遊が「パンドラの匣」を知らないことが明らかとなる。ギリシャ神話のパンドラを知っているのに「パンドラの匣」を知らないことに着目した凛は、「この世界ではパンドラの匣が開けられていないのでは」と推察した。実際、エリカの正体はパンドラであった。パンドラの匣にはパンドラ自身の死も入っており、故に匣が開かなかった世界で6000年間死ぬこともできず生き続けているパンドラはもはや匣―ピトス―を開けることができなくなっていた。エインズワース家初代当主・ダリウスの目的はピトスを使って人類を救済することであった。ダリウスは死後も後継者に憑りつくことで千年生きている存在である。一方でジュリアンの目的は聖杯を使ってピトスを壊しパンドラに死を与えることであった。
作戦と準備が整いイリヤ・美遊・クロエ・バゼットの4人が戦いに出る。その策とはベアトリスをイリヤバゼットで倒し、美遊とクロエがジュリアンを倒すというものだった。
ベアトリスとの戦闘の最後、バゼットのフラガラックによりベアトリスの心臓を貫いた際にイリヤはベアトリスの過去を知る。ベアトリスはかつてジュリアンに恋をした少女だった。告白しようとした際に聖杯戦争に巻き込まれ死亡し、ドールズとしてよみがえる際に本名も含めて過去の記憶を失った。死の間際、イリヤのカード強制排出により死を免れた。
先に進んだ美遊とクロエの前に現れたのは死んだはずの桜だった。二人は黒桜に苦戦するも美遊のゲイボルクにより撃破する。なお桜の心臓は元々なかった。その後二人はピトスの中に閉じ込められてしまう。
イリヤはベアトリスを倒してジュリアンの元に辿り着いた。イリヤは戦闘の中でパンドラもジュリアンも本音を言っていないことを見抜き、壮絶な戦闘の末にジュリアンに勝利する。ピトスも破壊されこれでおしまいかと思われた瞬間、ギルガメッシュが田中とともに現れる――。

 

前作の感想でも書いたけど声優陣の迫真の演技が見事だった。ちょっと声がかわいいだけの若手声優ではできない確かな演技力が各キャラの声からリアリティという「重さ」を持って伝わってきた。特にベアトリス役の釘宮理恵戦闘狂として何度も叫ぶ演技をやりつつジュリアンに対して恋心を抱いていたり泣くシーンがあったりとまさに超一流声優の実力だった。

Fateシリーズでよく見る禍々しい夕焼けも印象に残っている。綺麗な夕焼けじゃなくて見ていて毒々しい夕焼けを背景の作画として表現するのは非常に難しいと思う。というか率直に無理なのではと思う。

作画も戦闘シーン満載でお腹いっぱい。
イリヤとベアトリスの戦いはまさにパワーvsパワーといった感じの近接打撃戦だし、美遊とクロエが桜と戦う方ではクラスカードを駆使して立ち回る展開が熱い。
そしてただ単に力でねじ伏せるように撃破するのではなく、イリヤがベアトリスやジュリアンの言葉の裏に隠された本心に触れてその思いを明らかにした上で勝利するのが良い。劇場版らしいダイナミックな戦闘ばかりに目が行くかもしれないがベースにあるストーリーも良い。

最後はジュリアンを倒してひとまずハッピーエンドかと思いきや、ギルガメッシュが何故か田中とともに現れたところでエンディング。いよいよ田中の正体が明らかになりそう。


……と、作品自体は今回も大変良かったのだが、悩ましい点もある。

さすがに丸4年も期間が空くと前作の内容は忘れるし次作はもう少し早く作れないものだろうか。まさかとは思うけど次回も4年後じゃないよね。今回この映画を見るにあたって私は2017年に書いた自分の感想を読み直したので大体内容は思い出せたし、当時しっかり感想を書き残しておいてよかったと思うが、"復習"してから映画を見に行く観客も多くないだろうし観客が入ってちゃんと売り上げを出せるのかも心配になってしまう。
次回作は早く作られることを期待して待ちたい。

前作の感想

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