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たまには長文を

劇場版 きんいろモザイク Thank you!!感想

本当によくまとめたと思う(上から目線)。この手の萌えアニメを映画館で80分見せられるのはキツいと思っていたけれど、舞台を良いバランスで変えながらキツさは最小限に抑え「きんいろモザイク」という一つのコンテンツを美しく完結させた。英語の台詞もすごく流暢だった。

(以下ネタバレあり)

 

【あらすじ】
前半は京都への修学旅行。様々な観光地を回り、最後には忍たちも高校卒業を意識し始める。後半は受験モード。進路を決められないカレンや勉強に身が入らない陽子。そしてお互いに離れたくないけど進みたい道がある忍とアリスの思いが交錯する。
アリスは高校卒業後はイギリスに帰るつもりだったが忍と離れたくはなかった。
その思いを知らない忍は高校卒業後にイギリスの大学に進もうと考えていたがやはりアリスと離れたくはなかった。
二人が本音で話したとき、二人の進む道が同じであることが分かる。またカレンはカレンでアリスと離れたくはなかったが、高校卒業後も日本に残りたいという気持ちを優先させ綾と陽子が志望する女子大へ挑戦することにした。
5人はそれぞれ受験勉強を頑張り、見事全員合格した。そして忍とアリスはイギリスに移った。
高校卒業から半年後、カレン・綾・陽子が旅行に来て5人はイギリスの地で再会する。


きんモザ1期が2013年。2期が2015年。2016年公開の劇場版1作目の『Pretty Days』は残念ながら見ていないため実に6年ぶりのきんモザであった。
ご存知の通り(?)、きんモザは所謂日常系萌えアニメの中でも特にファンタジー寄りで、とても高校生とは思えない精神年齢の低さがむしろこの作品の特徴を際立たせる長所でもあった。

そんな彼女たちが高校卒業を控え大学受験や将来について悩んだり語ったりするのは正直どうしても違和感はあるが、現実世界リアルでも5~6年のブランクがあったことを思えば彼女たちもまた相応に成長したのだと思える。


正直に言うと、甘い生クリームをエンドレスで食べ続けるようなキツさはゼロではなかった。ただし事前に覚悟していたよりは遥かにスッキリしていた。ストーリー展開は4コマ原作らしく起承転結がある種のスピード感を伴って矢継ぎ早に流れていくし、前半に修学旅行、中盤に受験、その後に卒業式や合格発表と、舞台が切り替わっていくことで見ていて飽きない。

物語はここで終わっても、彼女たちには今後も楽しい人生が待っているのだろうと思える、暖かな気持ちになれる優しいストーリーだった。


非現実的なファンタジーとは分かりつつも、人生の教訓のようなものも感じた。
英語が苦手だけど高校卒業後にイギリスの大学に進もうと決意する忍の情熱は自分には無い。日本文化が好きだからと日本の高校に進学・転校してくるアリスやカレンの行動力も無い。
それでも「なんとかなるでしょ」の精神でとりあえず突き進む人生ってきっと楽しいと思う。
――図らずも、自分の人生の価値観を問われているようでなかなか心の底に響く映画だった。(考えすぎかな??)

「撮った写真を壁一面に飾ってモザイクのようにしたい」という忍の台詞を聞いて、なるほどタイトルの意味はそこにあったのかと2013年から8年越しに理解した。

かくして「きんいろモザイク」はここに完結した。
本当に予想上のすばらしい大団円だった。