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たまには長文を

幻日のヨハネ感想

ラブライブシリーズのスピンオフとしては、原作に干渉しないという意味も含めて良かったと思う。

(以下ネタバレあり)

 

ルビィが妖精だったりダイヤが行政局の長官を務めていたりと、本編とはかけ離れた完全にファンタジーの世界。この大胆な舞台設定により「町全体が謎の現象に包まれる」という構成が違和感なく溶け込む。
それでいて「楽曲」を中心に魅せるラブライブらしさは健在で、本作では全13話中、OPとEDの他にさらに8曲もの挿入歌/ステージパートが用意された。

ストーリーの中身に触れていこう。

沼津ヌマヅという土地について。ヨハネを除いてみんなヌマヅを愛しているものの、ヨハネだけは夢破れて都会から仕方なく・・・・戻ってきた地となっている。

嫌々戻ってきたヨハネにとってヌマヅは「つまらない土地」であった。
しかし本当につまらなかったのはヌマヅではなくヨハネ自身の心持ちであり、仲間やライラプスとの関わりの中でヨハネ少しずつ心を開いていく。


こういう「東京では活躍できなかったけど田舎もいいよね」みたいなテーマは割と普遍的なものではあるものの、ラブライブというビッグタイトルで描きたかったものかと考えると正直微妙だった。
だがそれも最終話を見終わって時間が経って改めて振り返ると意外といいポイントを突いている気もする。

そもそも本家のラブライブがアイドル甲子園だったわけだから、「各地区で勝ち上がって東京に行くだけがラブライブではない」というアンチテーゼをスピンオフで描くのはむしろ自然だし、バランスが取れていると言えないだろうか。

まぁ、勝ちを目指さないという点では虹ヶ咲でやっていると言われるかもしれないが・・。

 


魔法が溶けてライラプスとの会話ができなくなるシーンも切なくて印象的だった。なにより日笠陽子の演技力の高さには今回も驚かされた。完全に一流声優の演技力。


確かにネット上では「期待したラブライブではなかった」という感想も目にする。しかしこれはこれで良かったと思うし、ラブライブシリーズの中で他の作品と重ならない独自の領域を開拓した意欲作だと思う。


ところで最終話のステージパート(公式にはダンスパート)、手掛けたのはまさかの菱田正和で驚いた。菱田正和といえばご存知プリティーシリーズで監督をはじめ、数多く演出を手掛けた方である。