2015年に第一作目が作られてから本作は四作品目となる。SHOW BY ROCK!!のコンセプトから脚本や作画よりも楽曲に期待が高まるところだが、今作においても期待通りどの楽曲も素晴らしかった。もちろん作画もストーリーも良かった。
（以下ネタバレあり）
見る前に気にしていたのは制作会社も監督もシリーズ構成も変わってしまったことだった。特に私は待田堂子脚本の熱狂的支持者なので、今回不在なのは正直不安だった。
全体の構成は大分マイルドになっている。異世界から召喚されて世界の危機を救う設定だった過去作と比較すると、音楽をやりたくて田舎から出てきた娘がバンドを始めるという極めてシンプルな構造になった。
主人公・ほわんの声優は演技力を見れば微妙に下手なんだけど、舌足らずな喋り口が却ってキャラクターとマッチしていて魅力の一つになっている。
下手さが良さとして感じられるのは個人的にかなり珍しい。
本作ではましゅまいれっしゅに加えどこんじょうふぃんがーとレイジングシグナルの3バンドが登場。バンドごとにそれぞれの考え方や取り組み方が見えて、感情移入して寄っても良し、一歩引いて俯瞰して見ても良しの筋の通った構成だった。
一方で、これも制作側のポリシーなのか、それぞれの楽曲を全部聞かせるのを避けていたのが残念だった。それは個別に入手した人だけのお楽しみとして出し惜しんだのだろうが、音楽がメインの作品なのだから途中で台詞を挟んだりフェードアウトしないでじっくり聴かせる見せ方にしてほしかった。
全体を通してマシマヒメコ（なぜかこの子だけ本名っぽい）がソロから少しずつバンドの良さに目覚めていく変化がキュートだった。
あとルフユの声優を務めた山根綺は色々な声が出せていたので今後伸びると思う。
最終回のラストで少しだけシアンが出てきたのも、なんと言うか嬉しかった。「音楽で世界は繋がっている」そんなメッセージを感じた。（脚本家がそんな意図だったかはもちろん定かではないが）
そして最終回後には新シリーズ「SHOW BY ROCK!!STARS!!」の製作が告知された。放送まで期待して待ちたい。
