change direction

たまには長文を

フリップフラッパーズ感想

フリップフラッパーズを評価する資格が、私には無いと思う。
そしてこの独特な作品の感想をまとめる文章力も。

(以下ネタバレあり)

 

トーリーそのものは、進路を決められず悩む中学二年生の主人公ココナが謎の少女パピカと共に冒険をし、成長していく物語だ。謎の生物、謎の世界(観)、謎の組織と一目で分からない要素が満載で、思考停止せずについていけるかどうかで見方が大幅に変わってくるだろう。

正直に白状すると、私は早々に思考停止した。
世界観が分かりづらい作品なんて無数にあるし、敢えて分かりづらく表現する作品だって少なくないからだ。
例として最近見た中では「装神少女まとい」や「ユリ熊嵐」が思い浮かぶ。
この手の作品に一々全力でぶつかっていられない。
それに分かりづらかったとしても全部見るとそれなりに楽しめる。
(やや話が逸れるけどどんな作品でも100%理解するのは不可能だろうし、それ自体に価値も意味もないと思う。)

 

さて、タイトルを見て「フリップフロップ」を想起した人は少なくないと思う。私もその一人だ。しかもフリップフロップは大学時代仕組みがなかなか理解できず苦労したところだ。
サブタイトルにもピュアインプット、ピュアコンバータ等々、電子回路の単語が並ぶ。しかしそれらは直接何かを示しているわけではなかったようだ。

6話くらいまで見進めた時点では「随分とアバンギャルドな作品だなー」くらいにしか考えていなかった。
「何か壮大なバックグラウンドがあるのだろうけれど、それが何なのかさっぱり分からない」というのが正直なところだった。


考察サイトやブログをいくつか見て回って、恥ずかしながらようやくこの作品の深さを知ることができた。

目から鱗というか、一体自分はこの作品の何を見てきたのかと衝撃を受けるばかりだった。作中に散りばめられる絵画やSF小説、果ては絵本まで、見て理解するのに教養を要求してくる本作の元ネタをどれだけの視聴者がどのくらい把握できていたのだろうか。
私は1%も理解できていなかったと思う。


というわけでここからは"逃げ"の感想文になるけど、理解できないながらもその「奥深さ」は確かに感じたし、面白かった。
独特な作画や表現は、小説でも実写でもなく「アニメーションを見ている」という感じがした。
考察サイトを見てから思い返してみると作品内に詰め込まれたその「情報量の多さ」に改めて驚かされた。

 

アニメをこれまでに400タイトル見たなどと言っておきながら、今なおこんな薄っぺらい表面的な感想しか書けない自分の低レベルさには言葉が出ない。
同時に、作品に正面から向かい合い(あるいはそんな仰々しい意思がなくとも)作品の本質や伏線に気付いて考察できる人たちを心から尊敬する。


ピュアイリューションとは結局何だったのか。
ユクスキュルの正体は何なのか。
ソルトの父は何を見たのか。
他にも疑問はたくさんあるがそれらは最後まで明示されない。しかしそれはそれで構わないのではないか。ぶっちゃけ、なんだっていいのだ。


フリップフラッパーズ、私の低レベルさ故に制作者が詰め込んだ膨大で奥深い内容が理解できなかった。
それでもこの作品は、間違いなく価値ある一作だった。