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たまには長文を

アンジュ・ヴィエルジュ感想

なかなか良かった。

(以下、ネタバレあり) 

 

 

カードゲームを原作とするこの作品の世界では、クラスによる力の差は覆らないようだ。
EXR、SR、R、UC、C。このクラスの壁は絶対であり、故にUCクラスであるメインキャラたちは「努力してパワーアップしたい」ではなく「努力して上のクラスに行くことでパワーアップしたい」と考えている。

お風呂シーンばかりの第1話で大半の視聴者はスルーしただろうが、実はこれ、着目すべき重要なポイントである。

すなわち、(クラスが上がらない限り)努力が報われないということだ。

カードに書かれた数値と効果によって結論が定まるカードゲームであればともかく、これはアニメ、物語である。
従って「努力→成長」が描けないのは構成上かなりの制限になる。
この縛りがあるなかで倒すべき敵に対してどのように戦うのかが興味深かった。

 

最終回。結論を言ってしまえば「絆の力」で敵に勝利した。
いや正確に書くなら、「絆の力でEXRになり、敵に勝利した」。

「絆の力は分かる、でもUCからいきなりEXRになっていいの?」
というツッコミはあるだろうが、まぁいいんじゃなかろうか。
中盤以降、絆を得るために苦労した描写は丁寧に描かれていたし、「プログレスとαアルファドライバーは分かり合えない」と言っていた彼女たちが「分かり合おうと努力することが大事!」と気付いた成長は美しい。

私は作画オタクではないのでそれほど意識していなかったが、毎回戦闘シーンがあったのも大きなポイントだろう。制作のSILVER LINK.は同時期放送のプリズマイリヤに注力していて、本作にそれほどリソースを回せなかった台所事情を踏まえれば尚更である。

意外、と言ってはスタッフに失礼だが、終わってみれば弱い主人公たちが絆の力で成長して敵を倒すという王道ストーリーだった。変に二期を匂わせることなく綺麗に終わったのも良かった。

 

私がこれまでに見てきた深夜アニメの作品数ももうすぐ400に届く。ましてここ数年は供給過多の状態だ。そんな状況の中、本作のような「直球」で勝負するストーリーに出会えたのは意外と貴重なのかもしれない。
アンジュ・ヴィエルジュ、隠れた良作であった。