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たまには長文を

レガリア The Three Sacred Stars感想

まず正直に言えば、この作品をどう見ればよいのか、そしてどう評価すればよいのか非常に難しい。

(以下ネタバレあり)

 

第4話放送後に一から作り直すという衝撃的な決断は、確かにこの作品が持っていたであろうポテンシャルを引き出すことに成功したと思う。

作画は間違いなく良くなった。QP:flapperのキャラデザは魅力的で抜群にかわいかった。
音楽も良かった。OP、ED共に耳に残るメロディで作中のBGMもシーンに合っていた。
キャスティング、知名度のある有名声優をよく集めたと思う。それぞれのキャラのイメージに合った声だった。戦闘シーン以外は全く不満無し。
脚本、家族愛をベースに他人を大切に思う気持ちを強く持って困難に立ち向かう展開はなかなか熱かった。

そう、こうして一つ一つ振り返ってみると本当にレベルの高い作品だったと言えるのだ――。


……では一体、この「満足感の薄さ」の正体は何なのだろうか――?

考えられるポイントをいくつか挙げてみたい。

・振り幅が大きすぎた
先ほども述べたようにQP:flapperのキャラデザは時代の最先端を行く可愛さだと思う。しかしだからこそ、そんな可愛いキャラたちが「戦闘」するというのがやはり合わない。落差が大きすぎた。声優陣の声は確かにかわいいのだが、戦闘となるとどうしてもフィットしないのかもしれない。

・緊迫感がない
俗に言う「精神世界」で主人公が一人自問自答するのはよくあるパターンだ。それ自体は否定されるものではない。ただ何事にも限度がある。戦闘シーンの途中でこれをやられるとそれまでの緊迫感・緊張感は消えてしまう。特に11話はそれが顕著だった。1分くらいで「精神世界のユイ」と「戦闘中のサラたち」の描写が何度も入れ替わり、戦闘の緊張感は完全に消えてしまった。

・ラスボスが小物だった
登場からして怪しさに溢れていて、CV緒方恵美なこともあり一体どんなラストを飾ってくれるのかと期待していたのに、なんとも微妙な終焉だったと感じたのは私だけではないだろう。結局ヨハンは何がしたかったんだ……?
なぜヨハンの攻撃がユイには効かないのかも気になってしまった。仮にもラスボスでしょ、主人公サイドが全く無傷ってどうなの……。

・「しっくりこない」
いくらこうして知ったような顔で語ろうとも、結局はコレなのかもしれない。
ユイは身近な大切な人を守りたかったのか、女王として国民を守りたかったのか、果ては宇宙空間において人類を守りたかったのか。その辺が途中からうやむやになってしまった。

 

一つ一つの要素は良かったのに、こうも噛み合わないのかと思うとなんとももどかしい。
落としどころとしては、ロボ要素を無視して「かわいいキャラが困難に立ち向かう」展開を楽しむのが良いのではなかろうか。