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たまには長文を

通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?感想

お母さんに茅野愛衣を起用するところも含めて企画時がピークだったんだろうな。

(以下ネタバレあり)

 

主人公が母親と一緒にゲームの世界で冒険する企画モノ。

SAOしかり劣等生しかり最初から能力が高い主人公が出る作品は少なくないが、主人公の母がチート状態な作品を見たのはもちろん初めて。
しかも第1話から前面に立って活躍したのは母の方で主人公はほぼ見ているだけだった。奇を衒った戦略としては悪くないが、第1話を見終わった時点での第一印象は期待でも拍子抜けでもなく「心配」だった。
主人公の見せ場を母親が奪ってしまっては、主人公の成長が描けなさそうだったからだ。

こういう場合、SAOのようにさらに強い敵を出して王道の成長ストーリーを進めるか、お兄様のように最強主人公が余裕で敵を倒し必ず勝利する時代劇のような構成にするかだろう。

本作では序盤以降お母さんがやや控えめになり真人が仕切るようになった。まぁ遅かれ早かれこの体制にしないと締まらないし予想通り。この辺の進め方はそこそこうまかったと思う。衝撃的なスタートからスタンダードな体制へうまく切り替えた。


それはそれとしてもストーリー展開はかなりキツい。母と息子がベタベタとくっついている展開が続くし当然のように一緒にお風呂に入っている。地獄。

しかもこのゲームは母と子供が一緒にプレイするはずなのに、ヒロインだけがゲーム世界から離脱せず結局主人公に合流している。

 

そして冒頭書いた「心配」は中盤以降現実のものとなる。最後の敵アマンテは作戦も含めて思っていることを全部しゃべるただのアホキャラでしかなかった。
それもそうだろう。主人公の成長を軸にしたストーリーではない時点で、いずれこうしてギャグ調の作風に切り替えるしかない。洗濯板を使っての「お洗濯対決」を視聴者の何%が面白いと思ったか不明だが。


まぁ良いところもあった。
ワイズやメディの母を倒す回のストーリーは面白かったと言える。母と子の問題をテーマとしているだけあって、子どもの幸せを本気で考えていなかった母が戦いの中で諭されて娘と仲直りする展開は(かなり無理があったけど)悪くなかった。

作画は安心と信頼と実績の「いつものJ.C.STAFF」。
瞳のデザインが独特なキャラデザは正直言って怖かったが原作由来だろうから仕方がない。


先の展開が読めてしまう平凡な作品だったかもしれないが、一生懸命従来の作品群と違うことをやろうとしていたのは感じたし、企画モノとしてはそれで充分かな。